交際費と広告宣伝費は社外の人に向けた支出として似たような性質があります。しかし交際費は損金不算入額が定められていることから、明確に交際費とその他の費用は区分をする必要があります。
今回は、交際費と広告宣伝費の違いについて確認をしましょう。
1.広告宣伝費とは
広告宣伝費とは自社の製品やサービスなどを一般消費者に向けて宣伝する時にかかった費用をいいます。新聞や雑誌、CM、インターネット等に掲載する広告費のみならず、販売促進のためのチラシやポスターの製作費、ノベルティグッズの製作費等も含まれます。
2.広告宣伝費と間違えやすい交際費
交際費とは得意先や仕入先その他事業に関係のある人に対する接待、供応、慰安、贈答などの行為のために支出する費用をいいます。しかし、カレンダー、手帳、手ぬぐいなどを贈与するために通常要する費用等の不特定多数の者に人に対する宣伝的効果を意図した費用は、交際費には含まれないものとされ、広告宣伝費となります。例えば菓子を製造販売する会社が、得意先を訪問する際に手土産として、地元の銘菓等の菓子を持参した場合は、その菓子の購入費は交際費に該当をしますが、自社製品の菓子を試供品として持参した場合には、その提供に要した費用は広告宣伝費に該当をします。
また創業10周年の飲食店を経営する会社が、感謝祭として得意先を招いて食事会を行った場合は、その食事会に掛かった費用は交際費に該当をしますが、不特定多数の一般消費者に対するフードフェスティバルを開催した場合には、そのイベントに掛かった費用は広告宣伝費に該当をします。
このように、支出相手によって会計処理を行うべき勘定科目が異なります。
3.広告宣伝費に該当する具体例
国税庁では、交際費に含まれないものの例として以下を挙げています。
①製造業者や卸売業者が、抽選により、一般消費者に対し金品を交付するための費用又は一般消費者を旅行、観劇などに招待するための費用
②製造業者や卸売業者が、金品引換券付販売に伴って一般消費者に金品を交付するための費用
③製造業者や販売業者が、一定の商品を購入する一般消費者を旅行、観劇などに招待することをあらかじめ広告宣伝し、その商品を購入した一般消費者を招待するための費用
④小売業者が商品を購入した一般消費者に対し景品を交付するための費用
⑤一般の工場見学者などに製品の試飲、試食をさせるための費用
⑥得意先などに対して見本品や試用品を提供するために通常要する費用
⑦製造業者や卸売業者が、一般消費者に対して自己の製品や取扱商品に関してのモニターやアンケートを依頼した場合に、その謝礼として金品を交付するための費用
※国税庁HPより引用
4.一般消費者とは
広告宣伝費に該当する具体例として、その物品等を支給する相手として一般消費者とされていますが、以下の場合は一般消費者には該当をしません。
①医薬品の製造業者や販売業者が医師や病院を対象とする場合
②化粧品の製造業者や販売業者が美容業者や理容業者を対象とする場合
③建築材料の製造業者や販売業者が、大工、左官などの建築業者を対象とする場合
④飼料、肥料などの農業用資材の製造業者や販売業者が農家を対象とする場合
⑤機械又は工具の製造業者や販売業者が鉄工業者を対象とする場合
5.まとめ
以上のように交際費と広告宣伝費は似たような性質がありますが、その支出相手によって会計処理を行うべき勘定科目が異なります。この区別の判断は、支出の際に受け取る領収書や請求書に記載される名目等ではなく、実態に応じて行う必要があります。
勘定科目の区別についてお困りのことがございましたら、身近な専門家に相談されることをお勧め致します。