新型コロナウイルス感染症の影響により、多くのイベントが中止となっています。そのイベントのチケットを購入した後に中止が決定された場合は、払戻しの対応が行われていますが、払戻しを行わないことも出来ます。
このように払戻を行わなかった場合のチケット代は、寄付金控除の対象になることが決定しました。
今回は払戻を行わなかった場合のチケット代の寄付金控除についてご紹介致します。
- 1.寄付金控除とは
- 2.チケット代の寄付金控除の魅力
- 3.寄付金控除の対象となるイベント
- 4.寄付金控除を受けるためにチケット購入者が行うべきこと
- 5.寄付金控除を受けるためにチケット販売者、主催者が行うべきこと
- 6.まとめ
1.寄付金控除とは
寄付金控除とは所得税の納税者が特定の団体に寄付金を支出した場合に、その金額に応じて所得税の減額をすることが出来る所得控除のことです。近年話題となっているふるさと納税も、寄付金控除のひとつです。寄付金控除は確定申告を行うことで利用することが出来ます。確定申告を行う義務のある個人事業主等は、例年提出している確定申告書に寄付金控除の内容を記載することで、その確定申告書によって納めるべき納税額の減額を受けることが出来ます。
確定申告を行う義務のない給与所得者等は、確定申告を行うことで、既に勤務先等で決定徴収された源泉所得税の還付を受けることが出来ます。
2.チケット代の寄付金控除の魅力
寄付金控除は上記のように、所得税の納税額の減額を受けることが出来ます。例えば10,000円のチケット代の払戻を行わなかった場合、最大で4,000円の減税となります。この場合はチケットを購入し払戻を行わなかったことによる金銭的負担は実質6,000円と、負担が大きく減ることとなります。
またチケットを購入した人のみならず、寄付を行うことでそのイベントの開催団体やアーティスト等の売上貢献に繋がり、支援することが出来ます。
上記の例ではチケット購入者の負担は実質6,000円になるとご紹介しましたが、払戻を行わなかったことによる開催団体やアーティストの手元に残る金額は10,000円と変わりません。
このように、払戻を行わなかった場合のチケット代の寄付金控除を利用することは、チケット購入者は所得税の納税額の減額を受けることが出来、一方でチケット販売者のアーティスト等は払戻を行わなかった金額について支援を受けることが出来るという魅力があります。
3.寄付金控除の対象となるイベント
寄付金控除には多くのイベントが対象となりますが、身内や内輪のイベント、明らかに文化芸術やスポーツ以外の目的で開催されるイベント、違法なものや主催者が反社会的勢力に属するイベントは対象外とされています。対象イベントの要件は下記のものです。
①文化芸術又はスポーツに関するものであること
②令和2年2月1日から令和3年1月31日までに開催された又は開催する予定であったものであること
③不特定かつ多数の者を対象とするものであること
④日本国内で開催された又は開催する予定であったものであること
⑤新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響により、現に中止や延期、規模縮小されたものであるこ
⑥ ⑤の場合に払戻しがされたもしくはされる予定であること
4.寄付金控除を受けるためにチケット購入者が行うべきこと
寄付金控除を受けるためには、確定申告が必要です。その確定申告には寄付金控除の対象となるイベントの払戻しを行わなかったことが証明出来る資料として、 「指定行事証明書」、「払戻請求権放棄証明書」をイベント主催者から受け取る必要があります。また、多くのイベントが対象となりますが、全てのイベントが寄付金控除の対象となるものではないため、あらかじめ寄付金控除の対象となるイベントであるかを主催者のホームページ等で確認する必要があります。
5.寄付金控除を受けるためにチケット販売者、主催者が行うべきこと
3の①~⑥に当てはまるイベントを行うチケット販売者、主催者は、そのチケット代が寄付金控除の対象となるように申請を行う必要があります。文化庁、スポーツ庁による審査のうえ、文部科学大臣による指定を受けなければなりません。この申請は文部科学省のホームページにてオンラインで行うことが出来ます。
6.まとめ
払戻を行わなかった場合のチケット代の寄付金控除についてご紹介致しました。アーティスト等の支援をしながら購入者自身もお得になる仕組みです。ご検討してみてはいかがでしょうか。ご不明な点がございましたら、身近な専門家に相談されることをお勧め致します。