税務調査の調査官にはノルマがある ? ! 税務署の組織理論と調査官の役割について解説
税務・財務


この記事の目次

税務署の組織構造とは


よくよく考えてみれば、国税は1つの組織であり、会社と同じように組織の理論があります。また調査官も公務員であって、1人のサラリーマンなのです。こう考えると、税務調査の対応も変わってくるというのが事実です。

税務署の組織構造は、権限が上からこのような順番になっています。

■ 税務署の組織構造
①税務署長
②副署長
③統括官
④調査官

これを知っているだけでも、たとえば税務調査で担当調査官とモメた場合、末端の人間である調査官とやり取りするのではなく、調査官の上司である統括官と交渉した方が断然効果があることがわかります。

これは一般の企業でも同じでしょう。担当者と話してもビジネスの話がうまく進まない場合でも、決裁者と話せば急に話が進んだりします。国税は国の組織です。一般企業よりもヒエラルキーが明確で、権限と職種・職格が定められています。


国家公務員第98条と第105条について


また法律では下記のように定められていることは知っておいた方がいいでしょう。

国家公務員法98条(法令及び上司の命令に従う義務並びに争議行為等の禁止)
職員は、その職務を遂行するについて、法令に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。

国家公務員法第105条(職員の職務の範囲)
職員は、職員としては、法律、命令、規則又は指令による職務を担当する以外の義務を負わない。

この法律からわかるとおり、公務員である調査官は、法律を守らなければならないのと同様に、上司の命令が絶対であるというわけなのです。この法律がある以上、いかに担当調査官と税務調査でモメることに意味がないかということがおわかりいただけると思います。

調査官も公務員であってヒエラルキーがあることを認識するだけで税務調査の対応は変わるのです。

税務調査官のノルマ


「税務署の調査官は、ホント無理やりでも追徴税額を持っていこうとしますよね」税務調査を何度か経験したことがある社長なら、みんな思っていることでしょう。

ここで気になるのは、調査官のノルマです。「車のディーラー営業マンに販売台数のノルマがあるように、調査官にも追徴税額のノルマがあるのかな?」と疑いたくなる気持ちはわかります。

さて、実際のところ、調査官に追徴税額のノルマはありません。「今年は○百万円」の追徴税額を課してこい!」とは言われていないのです。

しかし、調査官にノルマがないわけではありません。「追徴税額にはノルマがない」のであって、ノルマは存在します。それは、「税務調査の件数にノルマ」があるのです。

調査官のノルマは「追徴税額」ではなく「税務調査の件数」


調査官は1年間を通じて税務調査を行っていますが、その間に、30件程度のノルマを課せられています。このノルマを達成できないと、まさに税務署内で問題なるのです。


なぜ調査官にノルマがあるのか


1年間は52週ありますが、休みなどを除くと、働いている週は実質35~40週程度ですから、1人あたりの調査官で、1週間に1件の税務調査を実施しているイメージでしょうか。

なぜ調査官に、税務調査の件数ノルマがあるかといえば、税務調査の実地調査率を上げるためです。

最近の税務行政の動向の6ページもある通り、国税は実調率(実地調査率)を公表しています。実調率とは、税務調査をすべき全体件数のうち、1年間でどれだけの税務調査を実際に行ったのか、率で算出したものです。

この資料にもある通り、法人の実調率は4.6%となっています。つまり、現在は税務調査をあまり行えていないため、平均すると20~25年に1回しか税務調査に来ないというわけです。(もちろん平均の話です)

これでは課税の公平性を守れません。なぜなら、税務調査にあまり入らないことがわかれば、真面目に申告・納税する人の数は減るからです。

そのためにも、調査官にそれぞれ税務調査件数のノルマを与えることで、実調率を上げようとしているのです。


調査官のノルマに個人事業主は含まれているのか


税務調査は法人だけでなく、個人事業主に対しても行われます。個人事業主に税務調査が入る確率は1年間に3~5%と言われています。100人いたら3人~5人が年間に税務調査を受けていることになります。

また、事業を行っている人であれば、5年に1度は必ず受けることになっています。 このようなことから、個人事業主も税務調査官のノルマに含まれています。


まとめ


ご不明な点がある場合は専門家に相談することをおすすめいたします。
税務調査についてご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

参照 : SHARES 田中雅明税理士事務所 田中雅明のページ


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