個人にコロナ関連の助成金が支給された場合、課税対象になり所得税が掛かるの?取り扱いについて解説します
税務・財務


新型コロナウイルス感染症の影響により、様々な助成金、補助金が各団体から支給されることとなりました。一般的に個人の所得には所得税が課税されますが、各種の助成金等の取り扱いはどのようになっているのでしょうか。
今回は様々な助成金について、所得税の観点からの取り扱いをご紹介致します。

この記事の目次

1.非課税と課税の判断の仕方

国や地方公共団体からの助成金は、個別の助成金の事実関係によって、課税関係が異なります。まずはおおまかな判断の仕方をご紹介致します。

①非課税となる助成金

非課税になる助成金とは、下記に該当するものをいいます。
・助成金の支給の根拠となる法令等の規定により、非課税所得とされるもの
・助成金が学資として支給される金品や心身又は資産に加えられた損害について支給を受ける相当の見舞金に該当する等の理由により 所得税法の規定により、非課税所得とされるもの

②課税となる助成金

課税になる助成金とは、下記に該当するものをいいます。
・事業所得等に区分されるもの
・一時所得に区分されるもの
・雑所得に区分されるもの

2.非課税の新型コロナウイルス感染症等の影響に関連して国等から支給される主な助成金

国や地方公共団体からの助成金のうち、新型コロナウイルス感染症等の影響に関連し支給され、非課税として取り扱われるものをご紹介致します。

①支給の根拠となる法律が非課税の根拠となるもの

・新型コロナウイルス感染症対応休業支援金
・新型コロナウイルス感染症対応休業給付金

②新型コロナ税特法が非課税の根拠となるもの

・特別定額給付金
・子育て世帯への臨時特別給付金

③所得税法が非課税の根拠となるもの

・学生支援緊急給付金
・低所得のひとり親世帯への臨時特別給付金
・新型コロナウイルス感染症対応従事者への慰労金
・企業主導型ベビーシッター利用者支援事業の特例措置における割引券
・東京都のベビーシッター利用支援事業における助成

3.課税の新型コロナウイルス感染症等の影響に関連して国等から支給される主な助成金

国や地方公共団体からの助成金のうち、新型コロナウイルス感染症等の影響に関連し支給され、課税として取り扱われるものをご紹介致します。

①事業所得等に区分されるもの

・事業所得者向けの持続化給付金
・家賃支援給付金
・農林漁業者への経営継続補助金
・文化芸術・スポーツ活動の継続支援
・東京都の感染拡大防止協力金
・雇用調整助成金
・小学校休業等対応助成金
・小学校休業等対応支援金

②一時所得に区分されるもの

・給与所得者向けの持続化給付金

③雑所得に区分されるもの

・雑所得者向けの持続化給付金

4.非課税の国等から支給される主な助成金

国や地方公共団体からの助成金のうち、新型コロナウイルス感染症等の影響に関連しない非課税として取り扱われるものをご紹介致します。

①支給の根拠となる法律が非課税の根拠となるもの

・雇用保険の失業等給付
・生活保護の保護金品
・児童手当
・扶養手当
・被災者生活再建支援金

②租税特別措置法が非課税の根拠となるもの

・簡素な給付措置
・子育て世帯臨時特例給付金
・年金生活者等支援臨時福祉給付金

③所得税法が非課税の根拠となるもの

・東京都認証保育所の保育料助成金

5.課税の国等から支給される主な助成金

国や地方公共団体からの助成金のうち、新型コロナウイルス感染症等の影響に関連しない課税として取り扱われるものをご紹介致します。

①事業所得等に区分されるもの

・肉用牛肥育経営安定特別対策事業による補てん金

②一時所得に区分されるもの

・すまい給付金
・地域振興券

③雑所得に区分されるもの

・通常時における企業主導型ベビーシッター利用者支援事業における割引券
・通常時における東京都のベビーシッター利用支援事業における助成

6.事業所得、一時所得、雑所得とは

課税となる助成金の課税理由として、事業所得や一時所得、雑所得に該当することが挙げられます。その判断には、それぞれの所得がどのようなものであるかを把握する必要があります。

①事業所得とは

事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業を営んでいる人のその事業から生ずる所得をいいます。
課税となる助成金のひとつである、事業所得者向けの持続化給付金は、事業所得を得ていた事業者の売上が減少したことに起因して補填されるものであることから、事業所得に該当をし、所得税が課税をされます。

②一時所得とは

一時所得とは、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得で、労務や役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得をいいます。
課税となる助成金のひとつである、給与所得者向けの持続化給付金は、給与所得者の労働の対価としての性質を有しないものであることから、一時所得に該当をし、所得税が課税をされます。

③雑所得とは

雑所得とは、他の所得のいずれにも当たらない所得をいい、公的年金等、非営業用貸金の利子、著述家や作家以外の人が受ける原稿料や印税、講演料や放送謝金などが該当します。
課税となる助成金のひとつである、雑所得者向けの持続化給付金は、雑所得を得ていた人の売上が減少したことに起因して補填されるものであることから、雑所得に該当をし、所得税が課税をされます。

7.事業所得、一時所得、雑所得に該当をしても所得税の支払いが無い場合がある

事業所得、一時所得、雑所得に該当をする助成金は、課税対象になりますが、結果として所得税の支払いが不要となる場合があります。

①事業所得の場合

事業所得は収入から経費を差し引いて計算をします。事業所得に該当をする助成金は、事業所得の計算上の収入に該当します。 しかし、1年間の収入から経費を差し引いた収支が赤字となる場合等には事業所得は0円とされるため、所得税は結果として支払いは不要となります。

②一時所得の場合

一時所得は所得金額の計算上、50万円の特別控除が適用されます。よって他の一時所得とされる金額との合計額が50 万円を超えない限り、所得税は結果として支払いが不要となります。

③雑所得の場合

雑所得は事業所得と同様に収入から経費を差し引いて計算をします。雑所得に該当をする助成金は、事業所得の計算上の収入に該当します。 しかし、1年間の収入から経費を差し引いた収支が赤字となる場合等には雑所得は0円とされるため、所得税は結果として支払いは不要となります。

8.助成金と確定申告

非課税となる助成金のみの受取では、課税所得として算入する必要が無いため、確定申告に影響はありません。
しかし、課税となる助成金の受取は確定申告に影響を与えます。既に確定申告を例年行っている人は、その提出する確定申告に助成金の内容を加えます。今まで確定申告義務が無かった給与所得者等も、1年間を振り返って助成金の受取りよって確定申告の義務が発生をしていないか確認をする必要があります。

9.まとめ

様々な助成金の所得税の取り扱いについてご紹介致しました。上記に挙げている助成金の他にも、地方自治体独自の様々な助成金があります。 課税の対象となるかの基本的な判断の仕方は1で紹介した通りですが、詳細については助成金を受ける際に、その助成金の支給団体の助成金に関する情報をホームページ等で確認すると良いでしょう。
ご不明な点がございましたら、身近な専門家に相談されることをお勧め致します。

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