新型コロナウイルス対策!高濃度エタノール製品には酒税が掛からない!
税務・財務


新型コロナウイルス感染症の影響により、医療現場等で手指消毒用エタノールが不足する事態が起きています。アルコール分1度以上の飲料には酒税が課税をされますが、手指消毒用エタノール以外の高濃度エタノール製品を新型コロナウイルス感染症の対応のために製造した場合、この製品の酒税は課税されないこととなりました。
この酒税の特例措置について、ご紹介致します。

この記事の目次

1.酒税とは

アルコール分1度以上の飲料には酒税が課税をされます。酒税の税率はビール、ウイスキー等のお酒の種類によって異なり、1㎘あたりの金額が定められています。この税金は消費者が負担をし、製造者が納付を行っています。
最も税率の高いお酒はウイスキー、ブランデー、スピリッツであり、度数に1万円を乗じた金額が、1㎘あたりの税額となります。最も税率の低いお酒はみりんです。

飲酒が好きな人、お酒に強い人が嗜むお酒の種類には高い税率が、一般的な家庭料理に使用するみりんには低い税率が定められているように、生活必需品と税収の観点からは考えられていない、嗜好に合わせた税金となり、たばこ税のように高い税率が定められています。
近年の健康志向等の理由により、酒税の国税としての総収入金額は、減少傾向にあります。

2.高濃度エタノール製品の有効性

手や指についたウイルスの対策は、洗い流すことが最も重要といわれますが、洗い流すことが出来ない状況においては、アルコール消毒液も有効です。
アルコールは、ウイルスの膜を壊すことで無毒化するといわれています。効果的なアルコールは濃度70%以上95%以下のエタノールとされていますが、60%台のエタノールによる消毒でも一定の有効性があると考えられています。

3.酒税の課税されない高濃度エタノール製品とは

高濃度エタノール製品とは、濃度が60%以上のものをいい、医薬品や医薬部外品ではありませんが、消毒用エタノールの代替品として、手指消毒に使用することが可能なものをいいます。

4.酒税が課税されないための承認要件

高濃度エタノール製品を製造し、酒税が課税されないようにするためには手続きを行い、税務署の承認を得る必要があります。 承認を得るための要件として、下記の項目をすべて満たす必要があります。

①承認を受けようとする製品が、厚生労働省が取扱いを定めている高濃度エタノール製品であり、使用者の責任において手指消毒用エタノールの代替品として手指消毒に使用されるものであること。

②承認を受けようとする高濃度エタノール製品の製造や販売に関して、都道府県等の衛生主管部、市町村の消防本部に事前かつ確実に相談し、その指示や指導等に従っていること。

③承認を受けようとする高濃度エタノール製品の容器表示が、必要表示事項を満たしていること。

④自治体等から、手指消毒用エタノールが不足しているとして特定の医療機関等への提供要請等がある場合は、優先して応じること。

⑤承認を受けようとする高濃度エタノール製品の製造者が、承認に際して下記の事項の誓約を行うこと。
・承認を受けようとする高濃度エタノール製品について、厚生労働省が定める取扱いに従い、製造や販売をすること。
・承認を受けようとする高濃度エタノール製品について、製造業者は製造物責任法上の製造物責任を負うことを認識していること。
・出荷先に対して、厚生労働省が定める高濃度エタノール製品の使用に係る取扱いに従い、やむを得ない場合に限り、使用者の責任において手指消毒に使用すること等を徹底させること。

⑥これらの承認の要件に違反する事実が認められた場合には、以後の承認を受けることができないことに同意すること。

5.手続きの手順

手続きは下記の順に行います。

①都道府県等の衛生主管部に下記の事項を相談し、指示や指導等を受けます。
・製造しようとする高濃度エタノール製品の仕様に関する事項
・高濃度エタノール製品として製品ラベルに表示すべき事項
・当該地域における、特定の医療機関等への出荷要請等の有無
・その他手指消毒用エタノールの代替品としての観点からの留意事項等

②市町村の消防本部に下記の事項を相談し、指示や指導等を受けます。
・危険物の製造や取扱いに関する遵守事項
・危険物として製品ラベルに表示すべき事項
・その他危険物としての観点からの留意事項等

③下記の内容等を含む製品出荷計画を策定します。
・容器容量
・出荷量
・出荷先
・出荷価格
・製品ラベル表示
・出荷日

④酒類製造場が所在する地域を担当する酒類指導官設置税務署の酒類指導官に、申請を予定している旨及び下記の事項の連絡を行います。
・製造者、製造場の情報
・都道府県等の衛生主管部(局及び市町村の消防本部への相談状況
・出荷予定日、出荷予定先

⑤上記3の承認要件を満たすことを確認のうえ、高濃度エタノール製品に該当する酒類に係る不可飲処置承認申請書を作成します。

⑥酒類製造場を所轄する税務署長宛に申請書を2部提出します。
提出は製品の出荷を予定する日の遅くとも3営業日前までに行います。

6.製品ラベルに記載すべき事項

都道府県等の衛生主管部で指導を受けることが可能ですが、ラベルに記載すべき事項は下記のものです。

①飲用不可、高濃度エタノール製品の表示
容器の主たる商標を表示する側の胴部に、1ℓ以下の容器は50mm以上×15mm以上大きさ、1ℓ超の容器は80mm以上×25mm以上黒地の中に、白文字で明瞭に1ℓ以下の容器は14ポイント以上の大きさ、1ℓ超の容器は16ポイント以上の大きさで記載をします。

②承認通知書に記載した管理番号の表示
容器に14ポイント以上の文字の大きさで明瞭に記載をします。

③製造者の氏名又は名称、製造場の所在地、内容量、アルコール分
容器の任意の場所に記載をします。

④原材料
可能な限り記載をします。

⑤使用、保管、取扱いに関して表示が必要な事項
都道府県等の衛生主管部及び市町村の消防本部に相談し、指示や指導等に従って記載をします。

7.出荷先等において、詰め替えや表示の書き替え等により酒類等として転売した場合

酒税が課税されない高濃度エタノール商品を詰め替えや表示の書き替え等により酒類等として転売した場合は、酒税法違反となります。酒類の製造及び販売業においては、酒税の確実な徴収と消費者への円滑な転嫁のために免許制度が採用されています。

酒税法違反と判断された場合、無免許製造に該当をすると10年以下の懲役又は100万円以下の罰金、無免許販売に該当をすると1年以下の懲役又は50万円以下の罰金の罰則があります。

8.医療機関等が高濃度エタノール商品を入手する際の注意点

高濃度エタノール製品の入手をする際には、アルコール事業法に規定する特定アルコールを取り扱う既存の事業者、アルコール事業法に規定する許可事業者から購入したアルコールを用いて高濃度エタノール製品を製造する既存の事業者、酒税法に規定する酒類製造者又は酒類販売業者のいずれかの事業者から購入をするようにします。

また購入する高濃度エタノール製品が、エタノール濃度が原則70~83%の範囲内であること、含有成分に、メタノールが含まれないものであることを事業者に確認をする必要があります。

9.まとめ

上記のように、高濃度エタノール製品は手続きを行うことで酒税の課税の対象外となります。新型コロナウイルス感染症の影響により、医薬品、医薬部外品の消毒液の不足に対し特例的に定められた措置です。

今後の新型コロナウイルス感染症の動きによっては措置が異なる場合もありますので、最新の情報には注意をして下さい。
ご不明な点がございましたら、身近な専門家に相談されることをお勧め致します。

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