学生に対して大学等からコロナ関連の助成金が支給された場合、所得税は掛かるの?
税務・財務


新型コロナウイルス感染症の影響により、学生に対して大学等から助成金が支給される場合があります。このように学生の生活を維持するために支給される助成金は、どのような取り扱いとなるのでしょうか。
今回は所得税の観点から、学生に支給される助成金についてご紹介致します。

この記事の目次

1.学費を賄うために支給された助成金

学生の保護者や本人の所得が新型コロナウイルス感染症の影響により減少をした場合に、学費を支払うことが難しくなり、それを賄うために支給された助成金は、所得税は非課税となります。

学資に充てるため給付される金品や、扶養義務者相互間において扶養義務を履行するため給付される金品については、新型コロナウイルス感染症の影響によるものでない場合であっても、非課税所得として所得税法で定められています。

2.生活費を賄うために支給された支援金

学生の保護者や本人の所得が新型コロナウイルス感染症の影響により減少をした場合に、学資に充てるものではなく生活費を賄うために支給された助成金は、所得税は課税となります。またこの所得区分は一時所得に該当をします。
一時所得とは、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得で、労務や役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得をいいます。

一時所得の所得金額は、総収入金額から収入を得るために支出した金額と最高50万円の特別控除額を差し引いて計算を行います。よって50万円以下の支援金の場合は、一時所得の所得金額が0円となり、結果として所得税を支払う必要はありません。

また、50万円を超えた場合でも、課税所得は50万円を差し引いた後に1/2を乗じた金額となります。 例えば、100万円を支給された場合、100万円から50万円を差し引いた50万円が一時所得の金額ですが、課税所得は50万円に1/2を乗じた25万円であり、この25万円に所得税率を乗じたものが、納めるべき所得税となります。

この場合では、確定申告が必要ですが、課税所得が20万円以下の場合、例えば、80万円を支給され、課税所得が15万円となり、給与所得及び退職所得以外の所得がこの一時所得のみである場合には、確定申告は不要です。

3.感染症に感染した学生に対する見舞金

新型コロナウイルス感染症に感染した学生に対する見舞金として支給された助成金は、所得税は非課税となります。
心身又は資産に加えられた損害について支給を受ける相当の見舞金については、新型コロナウイルス感染症の影響によるものでない場合であっても、非課税所得として所得税法で定められています。

4.遠隔授業を受けるために供与された機械

新型コロナウイルス感染症の影響により、学生本人が感染し自宅待機をしなければならない、感染予防のために学校に集まることが出来ない等の理由で、遠隔授業を受ける場合、それに必要なパソコン等を支給された場合、これらの供与は得税は非課税となります。

このパソコン等は学資に充てるため給付される金品と考えられるため、上記1と同様に、新型コロナウイルス感染症の影響によるものでない場合であっても、非課税所得として所得税法で定められています。

5.国等からの学校関連の助成金

上記では大学から学生に対して支給される助成金についてご紹介致しました。新型コロナウイルス感染症の影響により教育関係の助成金には、国等からも支給されるものがあります。

例えば小学校休業等対応助成金、小学校休業等対応支援金は新型コロナウイルス感染症の影響により小学校が休校になったことで、仕事が出来なくなった保護者を支援するための助成金です。

この助成金については、保護者の事業上の損失を補填することから、事業所得に該当をし、所得税が課税されます。

6.まとめ

新型コロナウイルス感染症の影響により支給される教育関係の助成金は様々なものがあります。学校独自で行っているものもあり、全てがこのいずれかに当てはまるものでありません。助成金の支給を受ける際には、支給団体の情報により課税関係を確認するようにしましょう。

ご不明な点がございましたら、身近な専門家に相談されることをお勧め致します。

記事のキーワード*クリックすると関連記事が表示されます

メルマガ登録(毎週水曜配信)

SHARES LABの最新情報に加え、
経営に役立つ法制度の改正時事情報などをお送りします。