クラウド会計の導入に消極的な会計事務所の本音について
税務・財務


みずほ銀行は、令和3年1月から、70歳未満の顧客が新規口座開設の際に、紙の通帳の発行を希望する場合には、1冊あたり1,100円(税込み)の発行手数料を取ることとしました。紙の通帳について、発行手数料を取る目的は、紙からデジタルへの移行を促し、業務の効率化を図ることにあるようです。
デジタル化で業務の効率化がアップするのは、会計業界も同様です。つまり、紙ベースで作業する会計ソフトよりもデジタルで作業するクラウド会計の方が業務の効率化を図れるという事です。

では、デジタルで作業するクラウド会計の方が業務の効率化を図れるにも関わらず、クラウド会計の導入に消極的な会計事務所があるのはなぜでしょうか。

今回は、クラウド会計の導入に消極的な会計事務所の本音について、説明いたします。

この記事の目次

1.税理士の高齢化

日本税理士会連合会が公表している第6回税理士実態調査によると、税理士の平均年齢は60歳を超えおり、4人に1人という割合で70歳以上の税理士がいるとの事です。以前、60歳代の税理士と今後どのように事業展開していくかを話していた時に、その税理士は『あと5年で引退だから、そこからどうしていくかは職員に任せている』といっていました。

クラウド会計は、とても便利ですが、これまで使ってきた会計ソフトから乗り換えるためにはそれなりに勉強が必要となります。高齢の税理士の場合、今更、新しいことに取り組みたくないと考えている可能性があります。

2.別の会計ソフトを提案済

私が都内の会計事務所に勤めていたころ、上司にクラウド会計を導入したいと提案したところ、『何年か前に、会計事務所側からお願いして、お客様が使用する会計ソフトを会計事務所がメインで使用している会計ソフトに替えてもらった経緯があるので、今更、クラウド会計が便利だという話をするのは難しい』と渋い顔をされてしまいました。

3.会計事務所の担当者の意識

会計事務所は、数字を扱うためミスは許されません。極力ミスをしない方法は何かを、突き詰めていくと、出来るだけ、今までと同じやり方を継続すること事になります。

私も会計事務所の担当者だったから分かるのですが、ミスをしたくないので、出来るだけ、同じことをしていたいという意識になってしまうのです(独立後は大きく意識が変わりましたが)。都内で職員を抱える税理士から聞いた話ですが、『クラウド会計を導入したいが、職員がしり込みしていて、なかなか上手くいかない』と言っていましたが、それは仕方がないことだと思います。

4.クラウド会計と親和性の高い申告ソフトを購入するため、追加経費が発生。

毎月の入力~申告書作成まで行うためには、会計ソフトの他に、申告ソフトを用意する必要があります。クラウド会計を導入した場合、クラウド会計と親和性の高い申告ソフトを新たに購入する必要があるため、追加経費が発生します。

5.クラウド会計を導入した結果、税理士報酬の値下げされるリスクがある。

経営者の中には、『クラウド会計を導入したので、毎月の顧問料は必要なく、決算料のみでいいのでは』と、顧問料の減額を要求される方がいらっしゃいます。確かに、クラウド会計を導入すれば、経理業務の効率はアップするため、毎月の月次の負担は減少されます。

しかし、会計事務所としては、せっかく、クラウド会計導入ため、スタッフ育成費や申告ソフト購入費を負担したのに、値下げを要求されたのでは割に合わないと考えます。

6.まとめ

以上が、私が会計事務所勤務の経験を通して感じた、クラウド会計の導入に消極的な会計事務所の本音です。私がこの記事を書いたのは、税理士からクラウド会計はやめた方が良いとアドバイスを受けたとしても、その背景には、上述したような会計事務所側の諸事情が潜んでいる可能性があるという事を知っておいてほしかったからです。

会計事務所側の都合で、クラウド会計の導入を断られているなと感じた場合、セカンドオピニオンに相談してみるのも、一つの方法かもしれません。
クラウド会計を導入したほうが良いのかどうかについて、もしセカンドオピニオンに相談してみたいという方については、是非、佐藤千晴税理士事務所までご相談ください。

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