コロナ対策のマスクや消毒液。この費用は医療費控除の対象になる?
税務・財務


新型コロナウイルス感染症の影響により、多くの人がその感染予防策としてマスクや消毒液の購入をしています。外出毎にマスク等の対策が必要となるため、これらの購入費は少なからず家計への負担となっています。
感染予防策をとることが個人の健康状態を守ると共に、社会的な安全のために必要とされていますが、この費用負担は医療費控除の対象となるのでしょうか。
今回は医療費控除と感染予防策についてご紹介致します。

この記事の目次

1.医療費控除とセルフメディケーション税制

医療費控除には通常の医療費控除と医療費控除の特例としてのセルフメディケーション税制があります。これらの医療費控除を適用することで、年間で支払うべき所得税の減額を受けることが出来ます。
通常の医療費控除とは、診療や治療の対価として医師等に支払った金額が医療費控除の対象の額となり、概ね年間で10万円を超える支払いを行った場合に適用をすることが出来、適用対象となる支払金額の上限は210万円です。

セルフメディケーション税制とは、ドラッグストアで購入できるOTC医薬品に転用された医薬品の購入金額が医療費控除の対象となり、概ね年間で1万2千円を超えるしはらいを行った場合に適用することが出来、適用対象となる購入金額の上限は10万円です。

2.感染予防策はセルフメディケーション税制の対象?

新型コロナウイルス感染症の感染予防策としてのマスクや消毒液は多くの人がドラッグストア等で購入をします。よって通常の医療費控除ではなくセルフメディケーション税制に該当するのではないか、と考える人もいらっしゃることでしょう。

しかし、マスクや消毒液の購入費は、このセルフメディケーション税制の対象にはなりません。何故なら医療費控除の対象となるのは疾病に対する治療費であり、あくまでも予防に該当をする物品の購入については、対象外と定められているからです。

3.セルフメディケーション税制の対象となる医薬品とは

セルフメディケーション税制の対象となる特定一般用医薬品等購入費とは、一般用医薬品等のうち、医療保険各法等の規定により療養の給付として支給される薬剤との代替性が特に高いものとして厚生労働大臣が財務大臣と協議して定めるものの購入の対価をいいます。

医療保険各法等の規定により療養の給付として支給される薬剤との代替性が特に高いものとして厚生労働大臣が財務大臣と協議して定めるものとは、一般的にスイッチOTC医薬品といわれるものです。
スイッチOTC医薬品の具体的な品目一覧は、厚生労働省のホームページに対象品目一覧として列挙されています。
ドラッグストア等での購入の際は、その購入品目がスイッチOTC医薬品に該当する場合、該当する旨の印字がレシートにされて渡されます。

4.セルフメディケーション税制の適用を受けるための要件

セルフメディケーション税制の適用を受けるためには、スイッチOTC医薬品の購入金額が1万2千円を超えることの他に、健康の保持増進及び疾病の予防への取組を行っていることが必要です。
この取組とは適用を受けようとする年に行う必要があり、下記のものが該当をします。

①保険者が実施する人間ドック、各種健診等の健康診断
②市区町村が健康増進事業として行う生活保護受給者等を対象とする健康診査
③定期接種、インフルエンザワクチンの予防接種等の予防接種
④勤務先で実施する定期健康診断
⑤特定健康診査、特定保健指導
⑥市町村が健康増進事業として実施するがん検診

5.まとめ

新型コロナウイルス感染症の影響により、その予防策としてマスクや消毒液を購入し、その購入費は少なからず家計への負担となっています。しかし医療費控除の対象外となるため、これらの購入費が所得税の減税効果をもたらすことはありません。
ご不明な点がございましたら、身近な専門家に相談されることをお勧め致します。

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