青色申告で節税できるって本当?個人事業主が行う青色申告の6つのメリット・4つのデメリット
税務・財務


この記事の目次

1.青色申告とは?

「個人事業主」として事業をはじめると、避けては通れないものの1つに帳簿付けがあります。そして、その帳簿をもとに確定申告期には1年間の収支から税金を算出し、国に申告と納税する必要があります。

納税となると、できるものなら少しでも納税額を減らしたいと思うのが人の常ではないでしょうか。 今回は少しでも節税したいという個人事業主の方向けに、「青色申告」のお話をします。

個人事業主は、原則として開業日から1月以内に開業届を税務署に提出する必要があります。


そして、その開業届と共に「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出すると、青色申告での確定申告が可能になります。
反対に、提出しないと、自動的に白色申告となります。 それでは、青色申告のメリット、デメリットを見ていきましょう。

2.青色申告の6つのメリット

青色申告には以下のようなメリットがあります。とても大きなメリットなので確認の上、是非青色申告を受けるようにしてください。

①最高65万円の特別控除ができる
②赤字が3年繰り越せる
③専従者への給与を経費にできる
④30万円未満の資産なら一括で経費にできる
⑤一括評価で貸倒引当金を計上できる
⑥申請によって現金主義での記帳も可能になる
①「最高65万円の特別控除ができる」


①「最高65万円の特別控除ができる」

青色申告の一番のメリットと過言ではないのがこちらになります。
正式名称を「青色申告特別控除」といいます。
事業で得られた売上から仕入や人件費などの必要経費を引いた儲けのことを「所得」といい、この所得から最高65万円の控除ができ、簡単に考えると、「65万円分経費が上乗せできる」と捉えてみてもいいかもしれません。

所得税は所得に課せられる税金なので、この控除額が大きければ、納める税金を抑えることができ、節税につながります。
たとえば
所得税率が20%の人がこの65万円控除を受けると
所得税65万円×20%=13万円
住民税65万円×10=6.5万円(住民税は全員一律10%です)
合計18.5万円の節税になります。

かつ、上記の悦税額に加え、国民健康保険の金額も少なくなるので大きなメリットを得られます。 税理士に依頼する報酬より節税額の方が大きくなるかもしれませんね。

※注意点:
平成30度の税制改正により今年令和2年からは 「e-taxによる申告(電子申告)」 もしくは 「電子帳簿保存」 を行う場合には例年通り65万円の控除が受けられます。

しかし、ご自身で申告書を作成されている方が書面で申告書を提出する場合には、控除額が65万円から55万円になってしまい、控除額が10万円も少なくなってしまうのでご注意ください。

②「赤字が3年繰り越せる」

事業で損失(赤字)が出た場合、その金額を翌年以降、最長3年間繰り越すことができます。 「繰り越す」とは翌年以降、黒字化して所得が発生した場合に、その金額から損失分を差し引くことができるということなので、赤字になった年の翌年に黒字化しても赤字分だけ節税できるというわけです。

たとえば、
2019年に300万円の赤字が生じ、2020年に500万円の黒字が生じた場合、本来は2020年は500万円の黒字から税金の計算を行います。
しかし、赤字の繰り越しがある場合には500万円の黒字から前年の300万円の赤字を相殺し、200万円の黒字として税金計算をおこなう。といった制度になります。

③「専従者への給与を経費にできる」

本来は個人事業主と一緒に生活している家族従業員の給与(専従者への給与)については経費になりません。しかし、「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出することにより、一定の要件の下に実際に支払った専従者への給与を全額経費にすることができます。

ちなみに、白色申告の場合は「専従者控除」として一定額(配偶者で86万円、その他の親族は50万円)の控除しか受けることができません。 全額経費と一部経費であれば、当然全額経費にできた方が節税になります。

④「30万円未満の資産なら一括で経費にできる」

10万円以上の備品を購入した場合、その備品は固定資産扱いとなり、法定の耐用年数ルールに従って数年にわたって経費として計上する必要があります。
青色申告の場合、少額減価償却資産の特例が適用され、年間合計300万円迄であれば、30万円未満の資産を一括で経費計上することができます。

すなわち、固定資産として処理しないといけない限度額が、単価10万円から30万円に引きあがるのです。 利益が多く出た年度で、その年度に支払う税金をできるだけ少なくしたいと考えるのであれば、購入した備品の金額をその年に一括で経費として計上したほうが節税につながります。

⑤「一括評価で貸倒引当金を計上できる」

12月末時点の売掛金、事業上の貸付金などの債権残高に対して、5.5%(金融業は3.3%)の額を貸倒引当金繰入として経費にすることができます。
貸倒引当金の経費計上は、実際にお金が出ていくわけではないけれど経費にできる処理なので、資金繰りに悪影響を及ぼすことなく、理想的な節税策といえます。

白色申告でも回収不能が確実の場合には、個別に評価して貸倒引当金を計上することが認められますが、「個別評価による貸倒引当金に関する明細書」を作成し、確定申告時に申告書とともに税務署に提出する必要があり、手間がかかります。
青色申告は金銭債権を合計した帳簿価額の5.5%を一括計上なので、処理の手間は白色申告の個別評価に比べ大変ラクになります。

⑥「申請によって現金主義での記帳も可能」

帳簿のつけ方には、「発生主義」と「現金主義」の2つの方法があり、原則は発生主義ですが、申請書を出すことで現金主義が認められます。
現金主義とは入出金のタイミング、つまり現金が動いた日付で帳簿付けできるので、帳簿の付け方としては簡単です。

発生主義とは取引が発生したタイミングで帳簿を付けます。よって、現金主義だと1回の仕訳で完了するのに対し、発生主義は2回仕訳が必要になるので、その分手間がかかります。

例)7月10日に1,000円の商品を売って、8月31日に入金になる。
現金主義 8月31日 現金1,000円/売上1,000円
発生主義 7月10日 売掛金1,000円/売上1,000円
     8月31日 現金1,000円/売掛金1,000円

現金主義の場合、帳簿を付ける手間が削減される一方、65万円控除は受けられず、10万円控除しか受けられません。 よって、帳簿付けが慣れない時期だけ現金主義とし、帳簿付けに慣れたら、65万円控除にチャレンジした方がよいと思われます。

3.青色申告の4つのデメリット

青色申告を受けるにあたって、デメリットもあります。メリットに比べ影響は少ないですが、それぞれ見ていきましょう。

①事前申請を出す必要がある
②複式簿記 (65万円控除のみ)
③決算書のページが多くなる
④期限内の提出厳守(65万円控除のみ)


①「事前申請を出す必要がある」

こちらが一番気を付けたいポイントです。
毎年2月16日~3月15日が確定申告の時期ですが、青色申告の適用を受けるには、「所得税の青色申告承認申請書」を事前に税務署にする必要があります。

提出のタイミングによっては、青色申告したい年度の適用を受けられない場合もありますので、注意が必要です。

①個人事業主としてはじめて事業を開始する場合:事業開始日から2か月以内
②白色→青色申告に変更する場合:青色申告の適用を受けたい年度の3月15日迄


②「複式簿記 (65万円控除のみ)」

メリットのところで説明した「65万円控除」を受けるには、「複式簿記」による帳簿作成が義務付けられています。 帳簿をつける方法として、「単式簿記」と「複式簿記」があります。

単式簿記は、収支のみを帳簿に付ける方法をいいます。非常にシンプルで、手書きやエクセルでも十分です。しかしながら、この方法だと10万円控除しか受けられません。

複式簿記とは、1つの取引に対して2つの側面から帳簿を付ける、つまり、1つの取引に対し、「借方」「貸方」という2つの欄を使って帳簿を付ける方法をいいます。 入出金だけを把握する単式と比べて複雑になりますが、財産や損益の状況を把握できるというのが複式です。

ちなみに、帳簿には主要簿(仕訳帳、総勘定元帳)と補助簿(現金出納帳、預金出納帳、固定資産台帳、買掛帳、売掛帳など)があります。 補助簿は必要に応じて作成すればよいのですが、主要簿は申告書を作成する上で必要な帳簿です。会計ソフトを使えば、主要簿は自動的に作成されますので、会計ソフトの導入をお勧めします。

③「決算書のページが多くなる」

複式簿記でつけた帳簿に基づいて、「青色決算報告書」を作成し、確定申告時に税務署へ提出します。

この青色決算報告書は規定のフォームがあり、その中には、いわゆる「損益計算書」(損益のページ)や「貸借対照表」(資産・負債のページ)が含まれております。白色申告が収支内訳書という損益のページだけで良いのに比べ、資産・負債のページも追加して作成する必要があるため、ページ数が多くなります。

④「期限内の提出厳守 (65万円控除のみ)」とは

そもそも怪訝内に申告書を提出することが当たり前ですので、大きなデメリットではありませんが、確定申告の提出期間は毎年決められています。
基本は2月16日~3月15日が提出怪訝となりますので、その期間に申告しないと65万円控除は受けられません。

2019年度の確定申告については、新型コロナウイルス感染症の影響により期限が延長されましたが、基本は毎年3月15日(土日祝日の場合には、その週明け)が申告期限となりますのでご注意ください。

4.まとめ

いかがだったでしょうか。 青色申告のメリット、デメリットをご理解いただけたでしょうか。
個人事業主の方は、青色申告した方が、デメリットよりもメリットの方がはるかに大きいと思いませんか。

とはいえ、一番頭を悩ませるのは簿記の知識が必要になる会計ソフトを利用した帳簿づくり(複式簿記)だと思います。

①簿記の知識が全くない
②どんな会計ソフトを選べばよいのかわからない
③何となく自分で入れてみたけど正しい処理かわからないので、自分で申告するのは心配だ


と思っている方は、税金のプロである税理士に相談してみてください。

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