もし、申告書を提出した後に間違いに気付いたら?申告内容を正しく直す方法とは
税務・財務


大前提として、申告書は法定申告期限内に提出することが肝要です。内容に不安があると、「いい加減な申告をする訳にはいかないから、期限を過ぎてしまうけどきちんと確認してから提出しよう…」と思ってしまうかもしれませんが、申告期限を過ぎての申告(期限後申告)は、後々に様々な影響(加算税や延滞税の取り扱い、期限内申告要件の特典が受けられないなど)を及ぼす可能性があります。

かといって、不安なまま申告してしまうと、やっぱり間違えた(>_<)ということもあるでしょう。そんな時はどうすればいいか、その手続き方法をご紹介します。

この記事の目次

1.申告内容の誤りを訂正する方法

申告書を提出した後に、申告漏れや計算誤りなどの間違いに気づいた場合、法定申告期限内であれば、正しいものを作り直して提出しなおすことができます。俗に言う「訂正申告」という手続きです。税法上は訂正申告という名前の手続きはありませんが、同じ人の申告書が複数回提出された場合は、最後に提出された申告書をその人の申告書として扱うことになっています。

問題なのは、申告期限を過ぎてから気付いた場合ですが、正しく計算した結果の税額が増えるか減るかで、「修正申告」または「更正の請求」と手続きは変わってきます。

2.修正申告とは

修正申告とは、納めるべき税額が増える(還付される金額が減る)場合や、翌年に繰り越される損失の額が減る場合に自主的に行うものです。「申告」ですから、提出をして受付をされた時点で効力を発生し、あなたの申告内容は修正申告書のものへと変わります。場合によっては、加算税や延滞税といった本税とは別の余計な税金がかかってしまうこともあります。

修正申告を行うことができる期間は5年間です(仮装・隠蔽と言われる不正行為があった場合は別ですが)。そして、たとえ当初申告の内容に何かしらの誤りがあったとしても、計算の結果税額に影響がない、または翌年に繰り越す損失額に影響がない場合は修正申告を行う必要はありません。

3.更正の請求とは

更正の請求とは、納める税金が減る(還付される金額が増える)場合や翌年に繰り越す損失の額が増える場合に行うもので、上記の修正申告と同様に5年間行うことができます。「請求」なので、その名の通り、誤りがあったので正しく直してください、と税務署長に対して訂正を求めるものです。

そのため、更正の請求書を提出した時点では、申告した内容はまだ何も変わりませんし、請求書の内容が正しいものであると証明できる書類を添付しなければなりません。

例えば、収入オーバーで扶養から外れていると思っていたお子さんの収入が実際には少なく、本来であれば扶養控除が受けられた、というような場合は、お子さんの源泉徴収票や住民税の非課税証明書を添付しなければなりません。

しかし、事業所得の金額誤り、例えば経費が一部計上漏れとなっていたような場合は、その証明はなかなか大変です。その支出に経費性はあるのか、他の科目に計上されていないか、確かにその支出が計上漏れであったとしても他の収入・経費は正しく計算されているのか(事業所得全体の金額は正しいのか)なども検討されます。

税務署が、その更正の請求書の内容について証明書類を基に確認、検討し、請求内容が正しいと判断できれば税額を減少させる「更正」が行われ、晴れて申告内容も訂正されます。
また、更正の請求書を提出はしたものの、なかなか証明書類をそろえることができず、税務署から書類の提出について再三の催促を受けている…というような状況が続いてしまう「更正すべき理由がない」という処分をされて終了してしまいます。

更正の請求に基づく更正は、増額(納めるべき税金が増える)更正とは違い、私たち納税者にとって不利益となる処分ではありません。しかし、税務署が行う処分であるということに変わりはないため、たとえ減額の、利益ある処分であっても、それが正しいと税務署が判断できなければ行うことができないのです。

まとめ

修正申告を行った後に、他にもまだ間違いがあることに気づいた場合、そこからさらに税額が増えるようなら再度修正申告は行えます。でも、「実はもう少し税額が少なかった」「やっぱり提出を取りやめたい」と思っても、一度提出した修正申告書を取り下げることはできませんし、税額を減少させる修正申告はできません。そのような場合はやはり更正の請求となります。

以上のとおり、申告書を提出した後でも、その状況に応じて誤りを正しく直す方法というのはあります。しかし、その労力やリスクを考えると、提出前にしっかり見直しを行って、できるだけ誤りのない申告をしたいものです。

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