2020年の所得税より所得金額調整控除が創設され、所得金額調整控除は2020年の年末調整による所得税の算出から適用をされます。給与収入が850万円を超える人の所得税額が減額され、納税者に有利となる仕組みです。
今回はその新しく創設された所得金額調整控除についてご紹介致します。
- 1.所得金額調整控除とは
- 2.子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除の対象者
- 3.子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除の控除額
- 4.所得金額調整控除申告書
- 5.給与所得と年金所得の双方を有する者に対する所得金額調整控除
- 6.まとめ
1.所得金額調整控除とは
所得金額調整控除とは、一定の給与所得者の総所得金額を計算する場合に、一定の金額を給与所得の金額から控除するものです。所得金額調整控除には、子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除と、給与所得と年金所得の双方を有する者に対する所得金額調整控除のふたつがあります。このうち子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除が年末調整にて適用することが出来ます。
2.子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除の対象者
子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除は、その年の給与等の収入金額が850万円を超える給与所得者のうち、下記の要件のいずれかを満たす人です。①本人が特別障害者に該当する人
特別障害者とは、障害者のうち身体障害者手帳に身体上の障害の程度が1級又は2級と記載されている人、精神障害者保健福祉手帳に障害等級が1級と記載されている人、重度の知的障害者と判定された人、いつも病床にいて、複雑な介護を受けなければならない人等をいいます。②年齢23歳未満の扶養親族を有する人
年齢はその年の年末時点で判断を行います。扶養親族とは、納税者と生計を一にする、年間の合計所得金額が48万円以下等の基準を満たす親族をいいます。③特別障害者である同一生計配偶者又は扶養親族を有する人
同一生計とは、日常の生活の資を共にすることをいいます。勤務の都合により家族と別居している又は親族が修学、療養などのために別居している場合でも、生活費、学資金又は療養費などを常に送金しているときや、日常の起居を共にしていない親族が、勤務、修学等の余暇には他の親族のもとで起居を共にしているときは、同一生計に該当します。3.子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除の控除額
所得金額調整控除額は給与等の収入金額から850万円を差し引き、その算出された金額に10%を乗じたもので、15万円が上限です。 この控除は夫婦がそれぞれ収入金額850万円を超え、23歳未満の扶養親族である子供が1人であっても、夫婦双方がこの控除を適用することが出来ます。4.所得金額調整控除申告書
子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除を年末調整にて適用したい場合は、その適用したい納税者本人が、所得金額調整控除申告書を、給与の支払者からその年の最後に給与等の支払を受ける日の前日までに提出をする必要があります。5.給与所得と年金所得の双方を有する者に対する所得金額調整控除
給与所得と年金所得の双方を有する者に対する所得金額調整控除を適用したい場合には、年末調整で適用することが出来ないため、確定申告を行う必要があります。適用対象者は、その年分の給与所得控除後の給与等の金額と公的年金等に係る雑所得の金額がある給与所得者で、その合計額が10万円を超える人です。
所得金額調整控除額は給与所得控除後の給与等の金額と公的年金等に係る雑所得の金額を足したものから10万円を差し引いた金額で、10万円が上限です。
6.まとめ
上記のように、給与収入が850万円を超える人の所得税額が、年末調整で子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除を受けることで減額されることとなりました。子どもがいる給与収入が850万円を超える人の多くが受けることのできる控除ですので、年末調整では見落としのないよう所得金額調整控除申告書を提出しましょう。
ご不明な点がございましたら、身近な専門家に相談されることをお勧め致します。
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