2020年度の確定申告から、基礎控除と青色申告特別控除の金額が改正になることにより、一部の個人事業主が所得税の減額を受けることが出来ます。
今回はその減額の対象となる個人事業主についてご紹介致します。
- 1.基礎控除の改正
- 2.青色申告特別控除の改正
- 3.電子帳簿保存又はe-Taxによる電子申告とは
- 4.所得税が減額となる個人事業主とは
- 5.所得税が据え置きとなる個人事業主とは
- 6.所得税が増額となる個人事業主とは
- 7.まとめ
1.基礎控除の改正
基礎控除とは誰しもが受けることの出来る控除であり、個人事業主に限らず給与所得者等にも適用されます。基礎控除は2019年度までは一律38万円でした。
これに対して改正が行われ、納税者本人の合計所得金額が2,400万円以下の場合は 48万円、2,400万円超える2,450万円以下の場合は32万円、2,450万円超2,500万円以下の場合は16万円、2,500万円超の場合は0円になりました。
つまり合計所得金額が2,400万円以下の人に対する基礎控除は10万円増額され減税に、2,400万円超の人に対する基礎控除は6万円以上減額され増税になります。
2.青色申告特別控除の改正
青色申告特別控除とは、個人事業主のうち一定の水準の記帳を行い正しい申告をする人に認められた青色申告制度を利用する人が受けることの出来る控除です。青色申告特別控除は2019年度までは65万円でしたが、これに対して改正が行われ55万円になりました。
しかし電子帳簿保存又はe-Taxによる電子申告を行っている場合は、引き続き65万円の青色申告特別控除を受けることが出来ます。
3.電子帳簿保存又はe-Taxによる電子申告とは
青色申告特別控除を65万円に据え置くためには、電子帳簿保存又はe-Taxによる電子申告をすることが必要です。①電子帳簿保存とは
一定の要件の下で帳簿を電子データのままで保存できる制度です。この制度の適用を受けるには、帳簿の備付けを開始する日の3ヶ月前の日までに申請書を税務署に提出する必要があります。②e-Taxによる電子申告とは
e-Taxとは、申告などの国税に関する各種の手続について、インターネットを利用して電子的に手続が行えるシステムです。このシステムの利用によって申告を行うことを電子申告といいます。4.所得税が減額となる個人事業主とは
①青色申告者
青色申告者のうち所得税が減額となる個人事業主は、上記の改正内容を踏まえて下記の要件を満たす人です。 ・合計所得金額が2,400万円以下の人・電子帳簿保存又はe-Taxによる電子申告を行っている人
合計所得金額が2,400万円以下の人は基礎控除が10万円上がり、なおかつ電子帳簿保存又はe-Taxによる電子申告を行っている人は青色申告特別控除の減額の影響を受けないため、基礎控除10万円分に対する所得税が減額となります。
②白色申告者
白色申告者は青色申告特別控除の減額の影響を受けないため、合計所得金額が2,400万円以下の人は基礎控除10万円分に対する所得税が減額となります。5.所得税が据え置きとなる個人事業主とは
所得税が据え置きとなる個人事業主は、上記の改正内容を踏まえて下記の要件を満たす人です。・合計所得金額が2,400万円以下の人
・青色申告者で電子帳簿保存又はe-Taxによる電子申告を行っていない人
合計所得金額が2,400万円以下の人は基礎控除が10万円上がりますが、電子帳簿保存又はe-Taxによる電子申告を行っていない人は青色申告特別控除が10万円下がるため、所得税が据え置きとなります。
6.所得税が増額となる個人事業主とは
所得税が増額となる個人事業主は、上記の改正内容を踏まえて下記の要件を満たす人です。・合計所得金額が2,400万円超の人
個人事業主に限らず、全ての所得において合計所得金額が2,400万円超の人は基礎控除額が減額されることから、所得税が増額となります。
7.まとめ
上記のように基礎控除、青色申告特別控除の改正により個人事業主は所得税の減税、据え置き、増税となる人がいます。確定申告の際は自身がどの要件に該当するかを確認し間違いの無いよう申告を行いましょう。
ご不明な点がございましたら、身近な専門家に相談されることをお勧め致します。