確定申告を行う個人事業主のうち、自宅開業の人はどの支出が経費に該当するのかという点で、確定申告書の作成において躓くこともあるでしょう。 今回は支出のうち家事按分をして計上すべき経費についてご紹介致します。
1.家事按分とは
家事按分とは個人事業と私用とで共通に使用しているものに対する支出について、確定申告の経費として計上することが出来る金額と計上の出来ない金額とに分けることをいいます。按分の割合は客観的に合理的であると認められる割合を用い、何割が経費であると法律で定められているものではありません。
2.家事按分の対象となる経費
個人時事業と私用とで共通に使用しているものに対する支出は、人それぞれ異なりますが、按分対象として多いものをご紹介致します。①地代家賃
賃貸住宅に居住し、その住宅の一部を個人事業のために使用している場合は、地代家賃が按分対象の経費となります。按分割合は、居住面積のうちの個人事業に使用している面積の割合や、生活時間のうちの個人事業を行っている時間の割合等が合理的な割合となります。②水道光熱費
自宅開業にて自宅に係る水道代、電気代の一部を個人事業のために使用している場合は、水道光熱費が按分対象の経費となります。按分割合は、生活時間のうちの個人事業を行っている時間の割合等が合理的な割合となります。③車両費
車両を保有し、その車両の一部を個人事業のために使用している場合は、そのガソリン代や車検費用等の車両費が按分対象の経費となります。按分割合は車の使用回数のうち個人事業に使用している回数の割合や、走行距離のうち個人事業のために移動した距離の割合等が合理的な割合となります。④通信費
携帯電話やスマートフォン、インターネットを利用し、その一部を個人事業のために使用している場合は、通信料等の通信費が按分対象の経費となります。按分割合は携帯電話等の使用回数のうち個人事業に使用している回数の割合や、データ利用量のうち個人事業に使用している量の割合等が合理的な割合となります。⑤減価償却費
車両やパソコン等の器具備品を所有している場合、減価償却費の計上が必要となります。この減価償却をすべき資産を保有しその一部を個人事業に使用している場合は、減価償却費が按分対象の経費となります。車両であれば車両費と同一の割合、器具備品であれば器具備品の使用回数のうち個人事業に使用している回数の割合等が合理的な割合となります。
3.家事按分の会計処理方法
家事按分は支出時や期末において経費と私用分を区別する仕訳の計上が必要となります。支出時、期末時いずれも確定申告を行う時点で正しい個人事業に係る経費が計上されていれば問題ありません。例えば地代家賃が全体で10万円であり個人事業用の預金から引き落とされ、そのうち2割の面積を個人事業のために利用をしている場合は下記のように仕訳を行います。店主勘定としている勘定科目は、店主貸、事業主貸等とすることも出来ます。
①支出時に按分する場合
支出時:地代家賃 2万円/預金 10万円店主勘定 8万円
②期末に按分する場合
支出時:地代家賃 10万円/預金 10万円期末時:店主勘定 8万円/地代家賃 8万円