事業再構築補助金は、経済産業省が実施する中小企業向けの補助金制度です。(令和2年度3次補正予算案 3月公募開始予定)
「新分野展開や業態転換、事業・業種転換等の取組、事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等を目指す企業・団体等の新たな挑戦を支援する」ことを目的として創設される予定です。
*今後、事業内容が変更される場合があります。3月に発表される予定の公募要領をご確認ください。
※参考:経済産業省
コロナ禍における、事業再構築促進事業として新たな取り組みを行うための設備投資や事業モデルの転換・拡大などにかかる費用の2/3(中堅企業は1/2)が補助され、1社当たり100万~1億円の補助金が給付されます。事業再構築補助金「通常枠」の他、補助率を引き上げた「特別枠」が創設されます。
事業再構築の事例と対象企業
事業再構築の例
事業再構築の例としては下記のものがあります。①居酒屋を経営していたところ、コロナの影響で売上が減少した場合 店舗での営業を廃止し、オンライン専用の弁当の宅配事業を新たに開始する(業態転換)。
②高齢者向けデイサービス事業等の介護サービスを行っていたところ、コロナの影響で利用が減少した場合 デイサービス事業を他社に譲渡。別の企業を買収し、病院向けの給食、ジム等の受託サービス事業を開始する(新分野展開)
通常枠
◎要件1.売上の減少 申請前の直近6カ月間のうち、任意の3カ月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1月~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少している。
2.事業再構築に取り組む
事業再構築指針に沿った新聞や展開、業態転換、事業・業種転換等を行う。
3.認定経営革新等支援機関と事業計画を策定する
事業計画を認定支援機関と策定し、一体となって事業再構築に取り組む中小企業等。補助金額が3,000万円を超える案件は金融機関(銀行、信金、ファンド等)も参加して策定する必要がある。金融機関が認定支援機関を兼ねる場合は、金融機関のみでも可能。
補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%(グローバルV字回復枠は5.0%)以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%(同上5.0%)以上増加の達成を見込む事業計画を策定する必要がある。
*付加価値額とは、営業利益、人件費、減価償却費を足したものです
緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛等により影響を受けたことにより、令和3年1月~3月のいずれかの月の売上高が対前年または前々年の同月比で30%以上減少している事業者は、審査において一定の加点措置が行われます。
特別枠
◎要件・「通常枠」上記1〜3の要件に加え、緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛等により影響を受けたことにより、令和3年1月~3月のいずれかの月の売上高が対前年または前々年の同月比で30%以上減少している。
◎メリット
・事業規模に応じて補助上限を設定した上で、補助率を引き上げ
・通常枠より、迅速な審査・採択
・特別枠不採択でも、通常枠で再審査可能
◎補助金額
従業員数5人以下:100万円~500万円
従業員数6~20人:100万円~1,000万円
従業員数21人以上:100万円~1,500万円
◎補助率
中小企業3/4(通常枠2/3)
中堅企業2/3(通常枠1/2)
補助金額と補助率
補助金額・補助率
・中小企業(通常枠)【補助金額】100万円以上6,000万円以下 【補助率】2/3
・中小企業(卒業枠)400社限定
【補助金額】6,000万円超~1億円以下 【補助率】2/3
※卒業枠は400社限定。事業計画期間内に①組織再編、②新規設備投資、③グローバル展開のいずれかにより、資本金又は従業員を増やし、中小企業から中堅企業へ成長する事業者向けの特別枠です。
・中堅企業(通常枠)
【補助金額】100万円以上8,000万円以下 【補助率】1/2(4,000万円超は1/3)
・中堅企業(グローバルV字回復枠)100社限定
【補助金額】8,000万円超~1億円以下 【補助率】1/2
補助対象経費の例
【主要経費】建物費(建物の建築・改修に要する経費)、建物撤去費、設備費、システム購入費
【関連経費】
・外注費(製品開発に要する加工、設計等)、技術導入費(知的財産権導入に係る経費)
・研修費(教育訓練費等)、広告宣伝費・販売促進費(広告作成、媒体掲載、展示会出展等)
・ リース費、クラウドサービス費、専門家経費
《注》: 「関連経費」には上限が設けられる予定です
【補助対象外の経費】
・補助対象企業の従業員の人件費、従業員の旅費
・不動産、株式、公道を走る車両、汎用品(パソコン、スマートフォン、家具等)の購入費 ・販売する商品の原材料費、消耗品費、光熱水費、通信費
申請準備
①GビズIDプライムアカウントの取得公募の開始は2021年3月となる見込みで、申請は全て電子申請「GビズIDプライム」で受付けとなります。申請をお考えの場合は、GビズIDプライムアカウントを事前に取得しておきましょう。
*GビズIDプライムの発行には、申請から2~3週間要するとされています(発行申請の状況によっては、3週間以上要する)。申請を検討されている方は、早めの取得をおすすめします。
②事業計画の策定
企業の強みや弱みの分析から、新事業の市場分析、事業再構築の必要性などをまとめる必要があり時間を要します。具体的な審査項目は公募要領に掲載される予定ですが、早めの準備をおすすめします。
③認定経営革新等支援機関との相談
事業再構築に係る事業計画を認定経営革新等支援機関と策定する必要があるため、申請をご検討中の方は認定経営革新等支援機関を探して頂くこととなります。
なお、当該記事を執筆しております、弓田会計事務所は認定経営革新等支援機関であり、事業再構築補助金の支援をしておりますのでお気軽にご相談ください。
補助金支払までのスケジュール等
補助金は、事業者による支出を確認した後に支払われます。なお、概算払制度が設けられる予定となっていますが現時点で詳細は明らかになっておりません。引用:経済産業省HP
補助事業期間終了後にフォローアップがあり、補助事業終了後5年間、経営状況等について年次報告が必要となります。また、補助金を活用して購入した資産の管理状況の確認、会計検査などが行われる可能性があります。
まとめ
申請前の直近6カ月間のうち、任意の3カ月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1月~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少している方が対象となります。なお、持続化給付金などは要件に該当すると支給されますが、事業再構築補助金は要件に該当しても全ての企業が補助金を受けられるわけではなく、審査後に採択されない可能性があります。事業再構築補助金は金額が非常に大きく、申請される企業も多くなることが予想されます。
また、補助金の公募は複数回行われますが、採択率は1回目が高くなる可能性もあります。
事業計画の策定や認定支援機関との相談など時間を要することも多いため、早めに対応することをおすすめします。
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