所得税や住民税の節税をしながら品物を受け取ることが出来ることで人気の高いふるさと納税。節税をすることが出来る一方で、ふるさと納税の返礼品に課税がされる場合があることはあまり知られていません。
今回はどのような場合にふるさと納税の返礼品に課税がされるのか、ご紹介致します。
1.ふるさと納税の返礼品は一時所得に該当をする!
ふるさと納税の謝礼として返礼品を受け取ることは、経済的利益をその寄付団体から受けていることになります。この計上的利益は、所得税法第9条の非課税所得に規定する非課税所得のいずれにも該当せず、課税の対象となるものです。この経済的利益は課税対象の所得であり、その所得の種類は一時所得に該当をします。
2.返礼品の経済的利益の金額
ふるさと納税によって受け取った返礼品の経済的利益の金額が何円であるか、ということ調べるためには、主に3つの方法があります。
①その返礼品が通常販売をされている場合、販売価格を調べる
返礼品の製造者がふるさと納税の返礼品としてだけではなく、通常の販売を行っている場合、その製造者が提示する販売価格を返礼品の経済的利益金額とします。
②その返礼品の類似品の販売価格を調べる
同じ品物の販売価格が不明の場合は、類似品の一般的な販売価額を経済的利益金額とします。
③寄付額の30%の金額とする
寄付団体が返礼品として準備する返礼品の価格は、過度な寄付金の集金や競争を避けるために原則として寄付金額の30%以下に抑えることと定められています。このことから、寄付額の30%の金額を返礼品の経済的利益金額とします。
3.返礼品に課税がされる場合
一時所得は、総収入金額から収入を得るために支出した金額と最高50万円の特別控除額を差し引いて算出がされ、その算出された金額に課税がされます。言い換えれば、総収入金額が収入を得るために支出した金額を下回る場合や、総収入金額が50万円を下回る場合等には課税がされません。
ふるさと納税の返礼品の経済的利益金額とは、総収入金額から収入を得るために支出した金額を差し引いた金額に該当をします。収入を得るために支出した金額に、寄付金額は含まれません。
①一時所得がふるさと納税の返礼品のみの場合
一時所得に該当をする所得が、ふるさと納税の返礼品の経済的利益のみである場合には、その返礼品の経済的利益の金額の合計額が50万円を上回る場合に課税をされます。
返礼品の経済的利益の金額を、寄付額の30%の金額と算出する場合においては、ふるさと納税の寄付額が166万円を超える場合には課税をされるといえます。
②一時所得がふるさと納税以外にもある場合
一時所得に含まれるものは、ふるさと納税の返礼品の経済的利益以外に、生命保険の一時金、競馬や競輪の払戻金等があります。
これらの他の一時所得がある場合には、これらを含めた総収入金額から収入を得るために支出した金額を差し引いた金額が50万円を上回る場合に課税をされます。
4.返礼品に課税される金額
課税をされた場合は、所得税額の支払いが必要です。一時所得は、その所得金額の50%が総所得金額として所得税の計算対象になります。所得税の税率は総所得金額によって異なり、総所得金額に対して5%から45%となっています。つまり最も高い税率が適用される人においては、返礼品の経済的利益の金額の50%の金額に45%を乗じた金額が所得税として課税されることとなります。
5.まとめ
上記のように、ふるさと納税として多額の寄付を行い、多くの返礼品を受け取った場合には、その返礼品に課税がされることがあります。 節税目的でふるさと納税を行う人にとっては、返礼品によって新たな税金の支払いが必要となることは望ましくないことでしょう。効果的なふるさと納税の利用をするようにしましょう。ご不明な点がございましたら、身近な専門家に相談されることをお勧め致します。