株を売った時にかかる所得税とは
税務・財務

物を売ることを所得税法では譲渡といい、株を売ったことによる利益は譲渡所得に該当をします。譲渡所得を含む所得税法に定められている10種類の所得に対しては所得税が課税をされ、納税が必要です。
今回は株を売った時にかかる所得税についてご紹介致します。

この記事の目次

1.株式等の譲渡益課税

株式等の譲渡による事業所得の金額、譲渡所得の金額及び雑所得の金額は、上場株式等に係る譲渡所得等の金額と一般株式等に係る譲渡所得等の金額に区分し、他の所得の金額と区分して税金を計算する申告分離課税が適用されます。

2.株式等とは

下記のものが株式等に該当をします。

①株式、株主又は投資主となる権利、株式の割当てを受ける権利、新株予約権及び新株予約権の割当てを受ける権利
②特別の法律により設立された法人の出資者の持分、合名会社、合資会社又は合同会社の社員の持分、協同組合等の組合員又は会員の持分その他法人の出資者の持分
③協同組織金融機関の優先出資に関する法律に規定する優先出資及び資産の流動化に関する法律に規定する優先出資
④投資信託の受益権
⑤特定受益証券発行信託の受益権
⑥社債的受益権
⑦公社債


3.上場株式等とは

上記株式等のうち、下記のものが上場株式等に該当をします。

①金融商品取引所に上場されている株式等
②店頭売買登録銘柄として登録されている株式
③店頭転換社債型新株予約権付社債
④店頭管理銘柄株式
⑤日本銀行出資証券
⑥外国金融商品市場において売買されている株式等
⑦公募投資信託の受益権
⑧特定投資法人の投資口
⑨公募特定受益証券発行信託の受益権
⑩公募特定目的信託の社債的受益権
⑪国債及び地方債
⑫外国又はその地方公共団体が発行し、又は保証する債券
⑬会社以外の法人が特別の法律により発行する一定の債券
⑭公社債でその発行の際の有価証券の募集が一定の公募により行われたもの
⑮社債のうち、その発行の日前9月以内に有価証券報告書等を内閣総理大臣に提出している法人が発行するもの
⑯金融商品取引所においてその規則に基づき公表された公社債情報に基づき発行する一定の公社債
⑰国外において発行された一定の公社債
⑱外国法人が発行し、又は保証する債券で、一定のもの
⑲銀行等又はその銀行等の関連会社が発行した社債
⑳平成27年12月31日以前に発行された公社債


4.一般株式等とは

一般株式等とは、株式等のうち上場株式等に該当をしないものをいいます。

5.上場株式等、一般株式等に係る譲渡所得等の金額の計算方法

①上場株式等

上場株式等の譲渡所得等の金額は下記の算式によって算出をすることが出来ます。
・総収入金額(譲渡価額)△必要経費(取得費+委託手数料等)

②一般株式等

一般株式等の譲渡所得等の金額は下記の算式によって算出をすることが出来ます。
・総収入金額(譲渡価額)△必要経費(取得費+委託手数料等)

6.所得税率

上記にて算出をされた譲渡所得等の金額に対して税率を乗じ、株の譲渡に係る税金を算出することが出来ます。 上場株式等、一般株式等の税率は、共に所得税が15%、住民税が5%です。

7.株式等の譲渡にかかる主な特例

株式の譲渡にはいくつかの特例が設けられ、算出される所得税の額を減額する優遇措置があります。主な特例には下記のものがあります。

①特定口座制度
②上場株式等に係る譲渡損失と上場株式等に係る配当所得等との損益通算
③上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除
④特定管理株式等が価値を失った場合の株式等に係る譲渡所得等の課税の特例
⑤非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置(NISA)
⑥未成年者口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置(ジュニアNISA)


8.まとめ

上記のように株を売った時の利益は譲渡所得に該当をし、上場株式等と一般株式等に分類がされ、それぞれ所得税が課税をされます。
所得税の算出や、特例の適用方法等、株式の確定申告についてご不明な点がございましたら、身近な専門家に相談されることをお勧め致します。

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