株式等以外の有価証券の譲渡による所得の計算
税務・財務

譲渡所得の計算方法は、その譲渡を行った資産により異なります。今回は株式等以外の有価証券の譲渡を行った場合の所得の計算についてご紹介致します。

この記事の目次

1.株式等を譲渡したことによる所得の計算

株式等を譲渡した場合の譲渡所得は、他の所得の金額と区分して税金を計算する申告分離課税の対象となります。
この譲渡所得は譲渡価額である総収入金額から取得費と委託手数料等である必要経費を差し引いて計算がされ、この譲渡所得に対して15%の所得税が課せられます。

2.株式等以外の有価証券の譲渡とは

株式等以外の有価証券を譲渡した場合の譲渡所得は、事業所得や給与所得などの所得の金額と合わせて税金の計算をする総合課税の対象となります。 総合課税の対象となる有価証券の譲渡とは、株式形態等によるゴルフ会員権の譲渡及び平成27年12月31日までに行われた下記の有価証券の譲渡です。

①国外で発行される割引公社債を国内で譲渡したことによる所得
②割引の方法により発行される公社債に類する利付公社債を国内で譲渡したことによる所得
③国内で発行される割引公社債で、独立行政法人住宅金融支援機構、旧住宅金融公庫、沖縄振興開発金融公庫、独立行政法人都市再生機構、旧都市基盤整備公団、旧住宅・都市整備公団、並びに外国政府、外国の地方公共団体及び国際機関により発行されるものの譲渡による所得
④国内で発行される一定の短期割引公社債の譲渡による所得
⑤利子が支払われない公社債の譲渡による所得


3.ゴルフ会員権の譲渡所得の計算

ゴルフ会員権は、特定の会社の株主にならなければ、会員となれない会員権とその他の会員権とに区分されますが、これらの会員権を売ったときの所得は、いずれも譲渡所得として給与所得など他の所得と合わせて総合課税の対象となります。
所得の計算はその会員権の所有期間に応じて下記のように行います。また下記での取得費とは一般的には購入代金のことであり、譲渡費用とは売るために直接かかった費用のことをいいます。

①短期譲渡所得に該当をする所有期間が5年以内のもの
譲渡収入金額から取得費、譲渡費用と特別控除額である50万円を差し引いた金額が課税される譲渡所得です。

②長期譲渡所得に該当をする所有期間が5年超もの
譲渡収入金額から取得費、譲渡費用と特別控除額である50万円を差し引いた金額を2で除した金額が課税される譲渡所得です。


4.ゴルフ会員権の譲渡所得にかかる所得税

申告分離課税の対象となる株式等を譲渡した場合の譲渡所得に対する所得税率は一律で15%ですが、総合課税の対象となるゴルフ会員権等を譲渡した場合の譲渡所得に対する所得税は、他の所得と合算した課税所得金額に応じて所得税率が異なります。
所得税率は、課税所得金額に応じて5%から45%まで7つの区分で段階的に定められています。

5.譲渡所得の申告期限

譲渡所得が生じたことにより所得税を支払うこととなった場合には、資産を譲渡した日の属する年の翌年の2月16日から3月15日の間に申告及び納税を行う必要があります。

資産を譲渡した日は、原則として、売買など譲渡契約に基づいて資産を買主などに引き渡した日をいいますが、売買契約などの効力発生の日に譲渡があったものとして確定申告することも出来ます。契約の効力発生の日とは一般的には契約締結の日です。

また譲渡所得が株式形態等によるゴルフ会員権の譲渡及び平成27年12月31日までに行われた下記の有価証券の譲渡のみから構成される場合には、その譲渡収入金額が特別控除額である50万円を超えた場合に確定申告及び所得税の納付が必要となります。

6.まとめ

譲渡をする際には、一般的にその譲渡による利益を見込んで行うものですが、その利益のうち手元に残るお金を計算するためには、譲渡所得によって生じる税金の支払いを加味しなくてはなりません。譲渡による税金の計算方法は、その譲渡を行った資産によって計算方法が異なることから、難解に感じられ、譲渡そのものをためらわれる方も少なくありません。
譲渡所得に関してご不明な点がございましたら、身近な専門家に相談されることをお勧め致します。

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