事業再構築補助金は、事業再構築のための事業に係る経費に対して、上限金額内の一定の割合を受け取ることが出来ます。この事業再構築のための事業に係る経費として認められるものとは、どのような経費をいうのでしょうか。
今回は補助対象となる経費についてご紹介致します。
- 1.建物費
- 2.機械装置、システム構築費
- 3.技術導入費
- 4.専門家経費
- 5.運搬費
- 6.クラウドサービス利用費
- 7.外注費
- 8.知的財産権等関連経費
- 9.広告宣伝、販売促進費
- 10.研修費
- 11.海外旅費
- 12.補助対象外の経費
- 13.補助対象経費の算出における留意事項
- 14.まとめ
1.建物費
下記に該当をする建物費が補助対象となる経費です。補助事業に係る建物費であることが要件であり、事業とは関係のない建物の取得や賃貸は対象外となります。①専ら補助事業のために使用される事務所、生産施設、加工施設、販売施設、検査施設、共同作業場、倉庫その他事業計画の実施に不可欠と認められる建物の建設、改修に要する経費
②補助事業実施のために必要となる建物の撤去に要する経費
③補助事業実施のために必要となる賃貸物件等の原状回復に要する経費
2.機械装置、システム構築費
下記に該当をする機械装置、システム構築費が補助対象となる経費です。①専ら補助事業のために使用される機械装置、工具、器具の購入、製作、借用に要する経費
②専ら補助事業のために使用される専用ソフトウェア、情報システム等の購入、構築、借用に要する経費
借用とはリース、レンタルをいい、交付決定後に契約したことが確認できるもので、補助事業実施期間中に要する経費のみとなります。
③上記①又は②と一体で行う、改良、修繕、据付け又は運搬に要する経費
改良、改善とは事業で新規に購入又は本事業のために使用される機械装置等の機能を高めることや耐久性を増すために行うもの、据付けとは本事業で新規に購入又は本事業のために使用される機械、装置の設置と一体で捉えられる軽微なものに限ります。
3.技術導入費
技術導入費とは補助事業遂行のために必要な知的財産権等の導入に要する経費です。知的財産権を所有する他者から取得する場合は書面による契約の締結が必要となります。技術導入費支出先には、専門家経費、外注費を併せて支払うことは出来ません。4.専門家経費
専門家経費とは本事業遂行のために依頼した専門家に支払われる経費です。補助事業の遂行に専門家の技術指導や助言が必要である場合は、学識経験者、フリーランス等の専門家に依頼したコンサルティング業務や旅費等の経費を補助対象とすることが出来ます。専門家経費支出対象者には、技術導入費、外注費を併せて支出することは出来ません。5.運搬費
運搬費とは運搬料、宅配、郵送料等に要する経費です。購入する機械装置の運搬料については、機械装置、システム費に含まれます。6.クラウドサービス利用費
クラウドサービス利用費とはクラウドサービスの利用に関する経費です。専ら補助事業のために利用するクラウドサービスやWEBプラットフォーム等の利用費であって、自社の他事業と共有する場合は補助対象となりません。具体的には、サーバーの領域を借りる費用、サーバー上のサービスを利用する費用等が補助対象経費となります。サーバー購入費、サーバー自体のレンタル費等は対象になりません。
7.外注費
外注費とは補助事業遂行のために必要な加工や設計デザイン、検査等の一部を外注する場合の経費です。外注先が機械装置等の設備やシステム等を購入する費用は対象になりません。8.知的財産権等関連経費
知的財産権等関連経費とは新製品、サービスの開発成果の事業化にあたり必要となる特許権等の知的財産権等の取得に要する弁理士の手続代行費用や外国特許出願のための翻訳料など知的財産権等取得に関連する経費です。補助事業の成果に係る発明等ではないものは、補助対象になりません。また、補助事業実施期間内に出願手続きを完了していない場合は、補助対象になりません。
9.広告宣伝、販売促進費
広告宣伝、販売促進費とは補助事業で開発又は提供する製品、サービスに係る広告の作成及び媒体掲載、展示会出展、セミナー開催、市場調査、営業代行利用、マーケティングツール活用等に係る経費です。補助事業以外の自社の製品・サービス等の広告や会社全体のPR広告に関する経費は対象になりません。10.研修費
研修費とは補助事業の遂行のために必要な教育訓練や講座受講等に係る経費です。補助事業の遂行に必要がない教育訓練や講座受講等は補助対象となりません。11.海外旅費
海外旅費とは海外事業の拡大、強化等を目的とした、本事業に必要不可欠な海外渡航及び宿泊等に要する経費です。申請枠が卒業枠及びグローバルV字回復枠に該当をする事業者のみ、対象の経費とすることが出来ます。国内旅費や本事業と関係が認められない海外旅費は、補助対象になりません。交付申請時に、海外渡航の計画を予め提出することが必要です。
12.補助対象外の経費
下記に挙げる経費は、補助対象の経費に該当をしません。①事務所等に係る家賃、保証金、敷金、仲介手数料、光熱水費
②フランチャイズ加盟料
③クラウドサービス利用費に含まれる付帯経費以外の 電話代、インターネット利用料金等の通信費
④商品券等の金券
⑤販売する商品の原材料費、文房具などの事務用品等の消耗品代、雑誌購読料、新聞代、団体等の会費
⑥飲食、娯楽、接待等の費用
⑦不動産の購入費、株式の購入費、自動車等車両の購入費、修理費、車検費用
⑧税務申告、決算書作成等のために税理士、公認会計士等に支払う費用及び訴訟等のため
の弁護士費用
⑨収入印紙
⑩振込等手数料及び両替手数料
⑪公租公課
⑫各種保険料
⑬借入金などの支払利息及び遅延損害金
⑭事業計画書、申請書、報告書等の事務局に提出する書類作成、提出に係る費用
⑮汎用性があり、目的外使用になり得るものの購入費
⑯中古市場において広く流通していない中古機械設備など、その価格設定の適正性が明確
でない中古品の購入費
⑰事業に係る自社の人件費、旅費
⑱上記のほか、公的な資金の用途として社会通念上、不適切と認められる経費
13.補助対象経費の算出における留意事項
上記11までに挙げる経費が、補助対象となりますが、その算出にはいくつかの留意すべき点があります。①消費税の取り扱い
補助金交付申請額の算定段階において、消費税等は補助対象経費から除外して算定する必要があります。
②支払の確認
補助対象経費は、補助事業実施期間内に補助事業のために支払いを行ったことを確認出来るものに限ります。支払いは、銀行振込の実績で確認を行います。
③過度な経費は見直し対象
事業計画に対して過度な経費が見込まれている場合、価格の妥当性について十分な根拠が示されない経費がある場合、その他本事業の目的や事業計画に対して不適当と考えられる経費が見込まれている場合等は、交付決定の手続きに際して、事務局から補助対象経費の見直しを求められます。
14.まとめ
上記のように補助対象経費は事業再構築補助金の事務局によって定められています。事業者が計上することが出来る経費とは異なるため、該当する経費であるかを確認のうえ、申請を行うようにします。補助対象とならない経費の支出を行い、事業再構築を図ってしまうと、補助を受けることが出来ず自己資金で事業を立て直すことと同意であり、金銭的な負担が大きいものとなってしまいます。
事業再構築補助金の申請にあたっては、事業計画を認定経営革新等支援機関や金融機関と共同で作成する必要があります。
予定をしている支出が補助対象経費となるかの確認やご不明な点は、認定経営革新等支援機関や金融機関をはじめとする身近な専門家に相談されることをお勧め致します。