5月末期限!個人の雑所得者、給与所得者向け一時支援金とは?
税務・財務

一時支援金は新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言の影響を受けた中小法人や個人事業主の事業所得者、雑所得者、給与所得者に対して支給をされる補助金です。
今回はその支給対象者のうちのひとつである雑所得者、給与所得者に支給をされる一時支援金についてご紹介致します。

この記事の目次

1.支給対象となる雑所得者、給与所得者

一時支援金の支給対象となる個人事業主の雑所得者、給与所得者とは、フリーランスを含む個人事業者で、雇用契約によらない、業務委託契約等に基づく事業活動からの収入を、主たる収入として、税務上の雑所得又は給与所得で、確定申告をしている人等が対象となります。下記の①から④の全てに該当をする個人をいいます。

①2019年以前から事業を行っている個人で、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響が顕在化する前の年である2019年又は2020年及び2021年1月から3月の対象期間において、雇用契約によらない業務委託契約等に基づく事業活動からの収入で、税務上、雑所得又は給与所得の収入として扱われるものを主たる収入として得ており、今後も事業を継続する意思があること。
②2021年の1月から3月の対象期間内に、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響が顕在化する前の年である2019年又2020年の月平均の業務委託契約等収入と比べて、緊急事態宣言影響により業務委託契約等収入が50%以上減少した月があること。
③2019年又は2020年及び2021年の1月から3月の対象期間以降において、被雇用者又は被扶養者ではないこと。
④2019年又は2020年の確定申告において、確定申告書第一表の収入金額等の事業欄に記載がない、又は0円であること。


2.支給対象外となる雑所得者、給与所得者

一時支援金の支給対象外となる雑所得者、給与所得者とは、下記の①から⑥のいずれかに該当をする個人をいいます。

①⼀時⽀援⾦の給付通知を受け取った個人事業主
②⾵俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に規定する性⾵俗関連特殊営業⼜は当該営業にかかる接客業務受託営業を行う事業者
③政治団体
④宗教上の組織又は団体
⑤地⽅公共団体による営業時間短縮要請に伴い新型コロナウイルス感染症対応地⽅創⽣臨時交付⾦を⽤いている協⼒⾦の⽀払対象となっている飲⾷店
⑥上記の他、⼀時⽀援⾦の趣旨や⽬的に照らして適当でないと中⼩企業庁⻑官が判断する個人事業主


3.業務委託契約等に基づく事業活動からの収入とは

一時支援金の申請要件に該当をするためには、業務委託契約等に基づく事業活動からの収入が50%以上減少した月があることが必要です。 業務委託契約等に基づく事業活動からの収入とは、雇用契約によらない業務委託契約等に基づく事業活動からの収入であり、税務上、雑所得又は給与所得の収入として扱われるものです。

例えば2019年以前から事業者から業務委託契約により講演を行っていた個人が、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により密室での人の集まりを避けるように求められ講演を行うことが出来なくなり、2021年の講演料収入が感染症の拡大以前と比較をして50%以上減少している場合、講演料収入は雑所得に該当をするものであることから、一時支援金の支給対象となります。

4.一時支援金の給付額

一時支援金の給付額は、30万円を超えない範囲で、2019年⼜は2020年の年間業務委託 契約等収入を4で除して得た額から雑所得、給与所得対象月年間事業収入から対象の月間事業収入に3を乗じて得た額を差し引いたものです。

例えば、例えば2019年の年間業務委託契約等収入600万円であり、2021年1月の事業収入が20万円であった場合には、一時支援金の支給対象となります。
この場合の給付額は、2019年の年間業務委託等収入600万円を4で除した金額である150万円から2021年1月の事業収入額の3倍である60万円を差し引いた90万円と計算がされますが、上限が30万円であることから、30万円が一時支援金の給付額となります。

5.一時支援金の申請手順

一時支援金の申請期限は2021年5月31日です。これまでの期間に申請を行う必要があります。

①申請要件に該当をするか確認をする
上記でご紹介しました支給要件に該当をするかを確認します。

②一時支援金の申請用ホームページにアクセスを行う
一時支援金の申請方法はホームページ上で行う電子申請です。申請IDの発行を行うことで、申請者用のマイページが作成されます。

③事前確認を行う
事前確認とは、一時支援金の不正受給や誤って受給してしまうことへの対応として、申請者が事業を実施しているのか、一時支援金の給付対象等を正しく理解しているか等について、登録認定機関から確認を受けることです。
一時支援金の事務局が登録した登録確認機関は、原則として、インターネットを利用したテレビ会議又は対面で帳簿等の事務局が定めた書類の有無や宣誓内容に関する質疑応答等の形式的な確認を行います。
申請者は登録認定機関を選定し、事前確認の依頼の旨の連絡を行います。事前確認には、下記の書類が必要です。
・本人確認書類
・収受日付印の付いた2019年及び2020年の確定申告書の控え
・2019年1月から2021年対象月までの各月の売上台帳、請求書等の帳簿書類
・2019年1月以降の業務委託等収入の取引を記録している通帳
・一時支援金の申請用ホームページからダウンロードをし、申請者が自著した宣誓、同意書

④宣誓、同意事項のチェック
一時支援金の給付を受けた後も事業を継続する意思があること等、宣誓、同意事項の内容を全て確認した上で、各項目にチェックを入れます。

⑤申請情報の入力
屋号や事業者氏名等の基本情報、収入の減少要件を満たす売上内容、一時支援金を受け取るための金融機関の口座情報を入力します。

⑥必要書類の添付
必要書類を申請用ホームページに添付をします。添付データはPDF、JPG、PNGのいずれかに対応をしており、スマートフォン等で撮影した画像も内容が鮮明に確認出来るものであれば書類として認められます。
具体的な必要書類は6にてご紹介致します。

⑦申請を行う
上記①から⑥の作業の後に、申請用ホームページより申請を行うことが出来ます。申請内容について一時支援金の事務局にて確認が行われ、申請内容に不備等が無ければ、確認完了後、事務局名義にて申請された銀⾏⼝座に一時支援金が振り込まれます。
確認が終了した際には、一時支援金が給付される場合には給付通知、不給付の場合には不給付通知が発送されます。

6.雑所得者、給与所得者の個人事業主の必要書類

雑所得者、給与所得者である個人事業主が一時支援金の申請に必要となる書類とは、下記の全てをいいます。

①確定申告書類
2019年と2020年の確定申告書第一表の控えが必要です。

②確定申告書類の受信通知
上記の確定申告書をe-Taxによって提出をしている場合には、確定申告書の有効性の提示のために受信通知の添付が必要です。 確定申告書をe-Tax以外によって提出をしている場合には、収受日付印等でその確定申告書の有効性を確認することが出来るため、受信通知は不要です。

③2021年分の対象とする月の売上台帳等
売上台帳、帳⾯その他の対象⽉の属する事業年度の確定申告の基礎となる書類を原則とし、対象⽉、⽇付、商品名、販売先、取引⾦額、合計⾦額等が記載されている書類であれば書式は問われません。

④国民健康保険証
被雇用者又は被扶養者ではないことの確認のために添付をします。任意継続被保険者、後期⾼齢医療被保険者、中小企業協同組合法第3条第4号に規定する企業組合に属する個人事業者の場合は、後期⾼齢者医療被保険者証等の他の書類で被雇用者又は被扶養者ではないことの確認をします。

⑤通帳の写し
申請者本人名義の通帳の写しが必要であり、⾦融機関名、⽀店番号、⽀店名、⼝座種別、⼝座番号、⼝座名義⼈が確認できるようスキャン又は撮影をし、添付します。

⑥本人確認書類の写し
運転免許証、個人番号カード等の住所、氏名、顔写真がはっきりと判別することが出来る本人確認書類の写しを添付します。

⑦宣誓、同意書
代表者本人が自著を行った宣誓、同意書を添付します。

⑧⼀時⽀援⾦に係る取引先情報⼀覧
申請用ホームページよりダウンロードをした取引先情報一覧の書式に、2019年から2021年の各1月から3月における顧客情報について連絡先等を記載し、添付します。

7.まとめ

雑所得者、給与所得者である個人事業主が受け取ることの出来る一時支援金についてご紹介致しました。

一時支援金の申請期限は2021年5月31日です。


申請方法や添付書類の準備等、お困りのことがございましたら、身近な専門家に相談されることをお勧め致します。

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