採択されるには?ものづくり補助金の審査のポイント
税務・財務


ものづくり補助金は申請者全てが受け取ることが出来るものでは無く、ものづくり補助金の事務局によって審査が行われ、補助金の支給がふさわしいと判断をされた一定の事業者のみが受け取ることが出来ます。
今回は、ものづくり補助金がどのようなポイントで審査をされるのかについてご紹介致します。

この記事の目次

1.ものづくり補助金の申請要件と審査の概要

ものづくり補助金の審査は、ものづくり補助金の申請要件を満たしているかの確認が行われます。そして、その申請要件を満たした事業者は、様々な面から、ものづくり補助金の事務局により採点が行われ、その点数が高い事業者から補助金を受け取ることが出来ます。

2021年6月より応募開始となる、ものづくり補助金は、令和元年度補正「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」の7次公募です。これまでの6次公募までの、ものづくり補助金の採択率は、申請枠によっての違いはあるものの、約17%から62%と非常に幅があり、補助金を受け取るためには、審査項目を理解し申請を行うことが不可欠となっています。

①ものづくり補助金の申請要件

ものづくり補助金は、革新的な製品、サービス開発又は生産プロセス、サービス提供方法の改善に必要な設備やシステム投資等を行う中小企業が支給の対象となっています。

この中小企業が、ものづくり補助金を受け取るためには、下記の内容を満たした3年から5年の事業計画を策定し、従業員にその内容を表明する必要があります。

・事業計画期間において、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加すること。
・事業計画期間において、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上の水準にすること。
・事業計画期間において、事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加すること。


②ものづくり補助金の審査項目

ものづくり補助金の審査項目は、技術面、事業化面、政策面、加点項目の4つで構成され、その他に減点項目が定められています。

2.審査項目 技術面

ものづくり補助金の審査項目の技術面では、下記の観点から採点が行われます。

①新製品、新サービス、また既存技術の転用や隠れた価値の発掘の革新的な開発となっているか。中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン又は中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針に沿った取組みであるか。
グローバル展開型では、地域内での革新性だけではなく、国際競争力を有しているか。

②試作品、サービスモデル等の開発における課題が明確になっているとともに、補助事業の目標に対する達成度の考え方を明確に設定しているか。

③課題の解決方法が明確かつ妥当であり、優位性が見込まれるか。

④補助事業実施のための技術的能力が備わっているか。

3.事業化面

ものづくり補助金の審査項目の事業化面では、下記の観点から採点が行われます。

①補助事業実施のための社内外の人材や事務処理能力、専門的知見等の体制や最近の財務状況等から、補助事業を適切に遂行できると期待できるか。金融機関等からの十分な資金の調達が見込まれるか。
グローバル展開型では、海外展開に必要な実施体制や計画が明記されているか。

②事業化に向けて、市場ニーズを考慮するとともに、補助事業の成果の事業化が寄与するユーザー、マーケット及び市場規模が明確か。クラウドファンディング等を活用し、市場ニーズの有無を検証できているか。
グローバル展開型では、事前の十分な市場調査分析を行っているか。

③補助事業の成果が価格的・性能的に優位性や収益性を有し、かつ、事業化に至るまでの遂行方法及びスケジュールが妥当か。

④補助事業として補助金の投入額に対して想定される売上や収益の規模、その実現性等の費用対効果が高いか。

4.政策面

ものづくり補助金の審査項目の政策面では、下記の観点から採点が行われます。

①地域の特性を活かして高い付加価値を創出し、地域の事業者等や雇用に対する経済的波 及効果を及ぼすことにより地域の経済成長を牽引する事業となることが期待できるか。
グローバル展開型では、事業の成果・波及効果が国内に環流することが見込まれるか。

②ニッチ分野において、適切なマーケティング、独自性の高い製品・サービス開発、厳格 な品質管理などにより差別化を行い、グローバル市場でもトップの地位を築く潜在性を有しているか。

③異なるサービスを提供する事業者が共通のプラットフォームを構築してサービスを提供するような場合等、単独では解決が難しい課題について複数の事業者が連携して取組むことにより、高い生産性向上が期待できるか。また、異なる強みを持つ複数の企業等が共同体を構成して製品開発を行う等、経済的波及効果が期待できるか。

④先端的なデジタル技術の活用、低炭素技術の活用、環境に配慮した事業の実施、経済社会にとって特に重要な技術の活用、新しいビジネスモデルの構築等を通じて、我が国のイノベーションを牽引し得るか。

⑤低感染リスク型ビジネス枠では、感染拡大を抑えながら経済の持ち直しを図り、ウィズコロナ、ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環を実現させるために有効な投資内容となっているか。

5.加点項目

ものづくり補助金の審査項目の加点項目では、下記の観点から採点が行われます。上記の3つのように内容の記載が必須ではありませんが、加点項目を満たすことで、補助金を受け取ることが出来る可能性が高まります。

①成長性加点
有効な期間の経営革新計画の承認を取得した事業者が該当をします。経営革新計画承認書等の添付が必要となります。

②政策加点
5年以内に創業、第二創業をした事業者が該当をします。会社成立又は開業日の年月日又は代表取締役の就任日が公募開始日から5年以内である場合に対象となります。開業届又は履歴事項全部証明書の添付が必要となります。

③災害等加点
有効な期間の事業継続力強化計画の認定を取得した事業者が該当をします。事業継続力強化計画認定書又は連携事業継続力強化計画認定書の添付が必要となります。

④賃上げ加点等
下記のいずれかの事業者が該当をします。特定適用事業所該当通知書の添付が必要となります。

・事業計画期間において、給与支給総額を年率平均2%以上増加させ、かつ、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+60円以上の水準にする計画を有し、従業員に表明している事業者

・事業計画期間において、給与支給総額を年率平均3%以上増加させ、かつ、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+90円以上の水準にする計画を有し、従業員に表明している事業者

・被用者保険の適用拡大の対象となる中小企業が制度改革に先立ち任意適用に取り組む事業者

6.減点項目

ものづくり補助金の審査項目の減点項目とは、過去3年間に、類似の補助金の交付決定を受けていた場合、交付決定の回数に応じて減点がされるものです。 類似の補助金とは、平成29年度補正ものづくり・商業・サービス経営力向上支援事業、平成30年度補正ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業、令和元年度補正・令和二年度補正ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業により受け取った補助金のことをいいます。

7.まとめ

上記のように、ものづくり補助金には、審査項目があり、技術面、事業化面、政策面、加点項目の4つにおいて、いかに申請時に内容を表明して、点数を得ることが出来るかが、補助金を受け取るためのポイントとなっています。
ご不明な点がございましたら、身近な専門家に相談されることをお勧め致します。

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