事業承継/引継ぎ補助金は、後継者不在等により、事業継続が困難になることが見込まれている中小企業者等において、経営者の交代又は事業再編や事業統合等を契機とした承継者が行う経営革新等に係る取組の経費に対して補助金が支給されます。
今回は、どのような経費が補助金の対象となるのか等についてご紹介致します。
1.事業承継/引継ぎ補助金の対象となる経費
取組に係る経費のうち、下記の要件を満たすものであり、補助金事務局が必要かつ適切と認めたものが補助対象経費となります。①使用目的が補助対象事業の遂行に必要なものと明確に特定できる経費
…売上原価に相当すると補助金事務局が判断する経費、M&A費用、M&A仲介手数料、デューデリジェンス費用及びコンサルティング費用等に相当すると補助金事務局が判断する経費は補助対象経費となりません。
②補助事業期間内に契約、発注を行い支払った経費
…交付決定日以前に契約や発注を行っている経費は原則、補助対象経費となりません。ただし、事前着手の届出を申請し、事務局の承認を受けた場合は、補助対象経費の契約締結日が、事務局の認めた補助対象事業の事業開始日以降かつ、2021年12月31日までの間であり、支払いまでが同期間内に完了している経費は補助対象経費となります。
③補助事業期間終了後の実績報告で提出する証拠書類等によって金額、支払い等が確認出来る経費
…証拠書類等は下記の点が遵守されているかの確認が行われます。
・補助対象事業の遂行のために必要な経費か
・当該補助事業期間内に発生、かつ支払いが行われているか
・法令や内部規程等に照らして適正か
・経済性や効率性を考慮して経費を使用しているか
2.対象経費の具体例
下記に挙げる経費が事業承継/引継ぎ補助金の対象となります。①事業費
・人件費…補助対象事業に要する賃金・店舗等借入費…国内の店舗、事務所、駐車場の賃借料、共益費、仲介手数料
・設備費…国内の店舗、事務所の工事、国内で使用する機械器具等調達費用
・原材料費…試供品、サンプル品の製作に係る経費
・産業財産権等関連経費…補助対象事業実施における特許権等取得に要する弁理士費用
・謝金…補助対象事業実施のために謝金として依頼した専門家等に支払う経費
・旅費…販路開拓等を目的とした国内外出張に係る交通費、宿泊費
・マーケティング調査費…自社で行うマーケティング調査に係る費用
・広報費…自社で行う広報に係る費用
・会場借料費…販路開拓や広報活動に係る説明会等での一時的な会場借料費
・外注費…業務の一部を第三者に外注するために支払われる経費
・委託費…業務の一部を第三者に委託するために支払われる経費
②廃業費
・廃業登記費…廃業に関する登記申請手続きに伴う司法書士等に支払う作成経費・在庫処分費…既存の事業商品在庫を専門業者に依頼して処分した際の経費
・解体費…既存事業の廃止に伴う建物、設備等の解体、処分費
・原状回復費…借りていた設備等を返却する際に義務となっていた原状回復費用
・移転、移設費用…効率化のため設備等を移転・移設するために支払われる経費
3.補助上限額、補助率
補助対象者に交付する補助額は、補助対象経費の2/3以内であり、上限額は申請する類型によって異なります。①創業支援型(Ⅰ型)
・補助率…補助対象経費の2/3・補助下限額…100万円
・補助上限額…400万円
・廃業費用上乗せ額…200万円
②経営者交代型(Ⅱ型)
・補助率…補助対象経費の2/3・補助下限額…100万円
・補助上限額…400万円
・廃業費用上乗せ額…200万円
③M&A型(Ⅲ型)
・補助率…補助対象経費の2/3・補助下限額…100万円
・補助上限額…800万円
・廃業費用上乗せ額…200万円
4.まとめ
上記の経費が補助対象経費となり、その2/3が補助金として受け取ることが出来ます。補助金の交付は事業完了後の精算後の支払いとなります。
そのため、補助対象事業は借入金等で必要な資金を自己調達する等の対応をとる必要があることに留意が必要です。
ご不明な点がございましたら、身近な専門家に相談されることをお勧め致します。
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