コロナ禍で生き抜くために!繰越欠損金の控除上限の特例の創設!
税務・財務

令和3年度税制改正では、大企業向け繰越欠損金の控除上限の特例の創設が行われました。コロナ禍で厳しい経営状況にある大企業の法人税額を軽減することが出来る特例です。
今回は、この繰越欠損金の控除上限の特例についてご紹介致します。

この記事の目次

1.繰越欠損金の控除上限の特例の創設によって変わったこと

繰越欠損金とは、企業の経済活動によって対象事業年度に発生した赤字のことをいいます。これまでの繰越欠損金の制度では、資本金1億円以下の中小企業等の場合、欠損金の全額を繰り越すことが出来、翌年度以降の黒字と相殺をして法人税額を算出することが出来ましたが、大企業では繰り越すことの出来る欠損金が繰越欠損金控除前所得金額の50%が限度額とされていました。

しかしこの特例により、繰越欠損金控除前所得金額の100%の欠損金を繰り越すことが出来るようになり、黒字の年度の法人税額を大きく減少させることが出来るようになりました。
つまり、従来の繰越欠損金の制度では、前期100億円の赤字があった大企業が当期100億円の黒字であった場合、法人税の課税される所得は50%が控除された50億円でしたが、特例では、要件を満たすことで100%が控除され、法人税の課税される所得は0円となります。

2.繰越欠損金の控除上限の特例

特例の内容を詳しくご紹介致します。

①特例対象法人

青色申告書を提出する法人で、改正後の産業競争力強化法に則ったポストコロナに向けた取組や、取組を進める上で必要となる投資を記載した事業適応計画の認定を受け、この計画に従って同法の事業適応を実施する法人が対象になります。

改正後の産業競争力強化法とは、グリーン社会への転換やデジタル化への対応、コロナ禍で赤字を被った企業の事業再構築等を促進するための措置を規定した産業競争力強化法の改正をはじめ、中小企業等経営強化法等の6つの改正法を束ねた産業競争力強化法等改正法であり、2021年6月9日の参院本会議で可決、成立し、6月16日に公布、施行されました。

②特例の対象となる欠損金と繰越期間

特例の対象となる欠損金は、2020年4月1日から2021年4月1日までの期間内の日を含む事業年度において生じた欠損金額です。繰越期間は最長5年間です。

③特例による控除上限の引き上げ額

認定された事業計画に基づいて実施した投資について、事業所管大臣が確認します。企業は確認された投資額の範囲内で、特例を受けることが可能であり、最大繰越欠損金控除前所得金額の100%です。

3.繰越欠損金の控除上限の特例の目的

新型コロナウイルス感染症の影響により、中小企業等のみならず、大企業も厳しい経営状況が続いています。しかし大企業が厳しい経営状況を起因として投資を控えるようになってしまうと、関連する事業者の経営状況も悪化し、更なる日本全体の経済状況の悪化に繋がります。

そこで繰越欠損金の控除上限の特例では、投資を行う事業計画の提出及びその計画の実施を条件に繰越欠損金の上限額を引き上げることで、大企業の投資を促進する狙いがあるといわれています。

デジタルトランスフォーメーションやカーボンニュートラル等、事業再構築、再編に係る投資に応じた範囲において控除額を増やすことで、コロナ禍のおける厳しい経営環境の中でも、企業の積極的な投資を促すための施策と位置付けられています。

4.まとめ

上記のように、大企業において2020年4月1日から2021年4月1日までの期間内の日を含む事業年度において生じた欠損金額は、投資額の範囲内で最大繰越欠損金控除前所得金額の100%が控除対象となりました。
これにより黒字の年度の納めるべき法人税額の減少が大きく見込まれており、それに伴い大企業の積極的な投資が期待されています。

繰越欠損金の控除上限の特例の適用要件や、適用手続きについて、ご不明な点がございましたら、身近な専門家に相談されることをお勧め致します。

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