年末調整を行うべき事業者、受けるべき従業員とは
税務・財務

12月が迫り、事業者は年末調整の準備を進める時期となりました。しかし、全ての事業者が年末調整を行うべきとは限りません、また従業員を雇用していても、全員が年末調整を受けるべきとは限りません。
今回は、年末調整を行うべき事業者、受けるべき従業員についてご紹介致します。

この記事の目次

1.年末調整を行うべき事業者

年末調整を行うべき事業者とは、源泉徴収義務者である事業者のうち、年末調整を受けるべき従業員を雇用する事業者です。

①源泉徴収義務者とは

事業者が、人を雇って給与を支払ったり、税理士、弁護士、司法書士等に報酬を支払ったりする場合には、その支払の都度支払金額に応じた所得税及び復興特別所得税を差し引くことになっています。

差し引いた所得税及び復興特別所得税は、原則として、給与等を実際に支払った月の翌月10日までに国に納めなければなりません。この所得税及び復興特別所得税を差し引いて、国に納める義務のある事業者を源泉徴収義務者といいます。

②源泉徴収義務者が年末調整を行う理由

給与の支払者は、毎月の給与の支払の際に所定の源泉徴収税額表によって所得税及び復興特別所得税の源泉徴収をすることになっていますが、その源泉徴収をした税額の1年間の合計額は、給与の支払を受ける人の年間の給与総額について納めなければならない税額と一致しないのが通常です。

この不一致を精算するために、1年間の給与総額が確定する年末にその年に納めるべき税額を正しく計算し、それまでに徴収した税額との過不足額を求め、その差額を徴収又は還付し精算することが必要となります。この精算の手続を年末調整といいます。

2.年末調整を受けるべき従業員

年末調整を受けるべき従業員は、雇用している全ての従業員であるとは限りません。年末調整の対象となる従業員、対象とならない従業員をご紹介致します。

①年末調整の対象となる従業員

年末調整の対象となる従業員は、下記のいずれかに該当をする従業員です。

・1年を通じて勤務している人
・年の中途で就職し、年末まで勤務している人
・年の中途で退職した人のうち、死亡により退職した人
・年の中途で退職した人のうち、著しい心身の障害のため退職した人で、その退職の時期からみて、本年中に再就職が出来ないと見込まれる人
・12月中に支給期の到来する給与の支払を受けた後に退職した人
・いわゆるパートタイマーとして働いている人等が退職した場合で、本年中に支払を受ける給与の総額が103万円以下である人
・年の中途で、海外の支店へ転勤したこと等の理由により、非居住者となった人


②年末調整の対象とならない従業員

年末調整の対象となる従業員は、下記のいずれかに該当をする従業員です。

・年末調整の対象となる従業員のうち、本年中の主たる給与の収入金額が2,000万円を超える人
・年末調整の対象となる従業員のうち、災害により被害を受けて、災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律の規定により、本年分の給与に対する源泉所得税及び復興特別所得税の徴収猶予又は還付を受けた人
・2ヶ所以上から給与の支払を受けている人で、他の給与の支払者に扶養控除等申告書を提出している人や、年末調整を行うときまでに扶養控除等申告書を提出していない人 ・年の中途で退職した人で、年末調整の対象となる従業員に該当をしない人
・非居住者
・継続して同一の雇用主に雇用されない、いわゆる日雇労働者等


3.まとめ

上記のように、年末調整は全ての事業者や従業員が対象となるものではありません。特に従業員については、全ての従業員が年末調整の対象となるとは限らないため、その事務年度毎に年末調整の必要性の有無の判断を事業者が行うことが必要であることに留意が必要です。
年末調整手続きについてご不明な点がございましたら、身近な専門家に相談されることをお勧め致します。

記事のキーワード*クリックすると関連記事が表示されます

メルマガ登録(毎週水曜配信)

SHARES LABの最新情報に加え、
経営に役立つ法制度の改正時事情報などをお送りします。