年末調整は、一般的に例年11月頃から翌年1月頃にかけて行われる、従業員の所得税の精算事務です。所得税には納付期限があり、またこの間に年末年始があるため、十分な事前準備と効率的な事務作業が必要です。
今回はスケジュール管理の参考となるよう、一般的な年末調整手続きを、時系列でご紹介致します。
- 1.例年11月中旬ごろから必要となる作業
- 2.例年11月下旬ごろから必要となる作業
- 3.例年12月上旬ごろから必要となる作業
- 4.例年12月中旬ごろから必要となる作業
- 5.翌年1月ごろから必要となる作業
- 6.納付額決定までの流れ
- 7.まとめ
1.例年11月中旬ごろから必要となる作業
年末調整用の申告書と必要書類の準備を行います。また書類の準備と共に、作業担当者は知識の確認もこの時期に行います。書類については、税務署から年末調整のしかた等の手引きと所得税源泉徴収簿、年末調整用の申告書、法定調書の用紙が送付されます。また、給与所得の源泉徴収票と給与支払報告書は、従業員の居住する市区町村から用紙が送付されます。
送付される用紙を書き損じた場合や、枚数が不足している場合には、税務署や市区町村に取りに行く、又は国税庁や市区町村のホームページよりダウンロードを行います。
2.例年11月下旬ごろから必要となる作業
年末調整のお知らせと申告書を従業員に配布します。必要に応じて申告書の記入例を配布する場合もあります。申告書は従業員本人の確認及び記載が必要です。期限を設けて、滞りなく記載するように通達をします。
3.例年12月上旬ごろから必要となる作業
上記で配布した申告書と、申告書の内容に応じた控除証明書等を従業員から回収をします。申告書の内容に誤りが無いか、控除証明書等と照合を行い、誤りや不明点があれば、随時該当従業員に確認を行います。また、各従業員の給料と賞与の支払金額、社会保険料、源泉徴収額を集計し、給与所得に対する所得税源泉徴収簿の作成を開始することも、同時期の作業となります。
4.例年12月中旬ごろから必要となる作業
従業員から回収をした申告書の内容が決定し、また年間の給料等の集計が完了次第、年末調整の計算を行い、給与所得に対する所得税源泉徴収簿を完成させます。完成した給与所得に対する所得税源泉徴収簿を基に、源泉徴収税額の過不足額を本年最後の給料又は賞与の支払い時に精算を行います。
また、完成した給与所得に対する所得税源泉徴収簿から、給与所得の源泉徴収票と給与支払報告書の作成を開始することも、同時期の作業となります。
5.翌年1月ごろから必要となる作業
源泉徴収税額の納付期限と各従業員への給与所得の源泉徴収票の交付期限、税務署への源泉徴収票、支払調書、法定調書の提出、市区町村への給与支払報告書と総括表の提出期限が1月にあります。それぞれ作成し、期限内に対応をする必要があります。期限日毎に表すと、下記のようになります。①1月10日期限
毎月納付を行っている事業者の場合における、税務署への源泉徴収税額の納付期限です。
②1月20日期限
納期の特例を選択している事業者の場合における、税務署への源泉徴収税額の納付期限です。
③1月31日期限
・給与の支払いを受ける人全員に、給与所得の源泉徴収票を交付する期限です。
・税務署に源泉徴収票、支払調書、法定調書合計表を提出する期限です。 ・市区町村に給与支払調書と総括表を提出する期限です。
6.納付額決定までの流れ
端的に時系列順に事務作業をご紹介しましたが、源泉所得税を納めるまでの源泉徴収税額の計算過程を順番にまとめると、下記のようになります。
①年末調整用の申告書の配布と回収
②源泉徴収簿で給与、賞与、源泉徴収税額、社会保険料を集計
③給与所得控除後の給与等の金額の計算
④申告書の内容確認と控除額の計算
⑤所得控除後の合計額の計算
⑥課税給与所得金額の計算
⑦算出年税額と年調年税額の計算
⑧過不足額の精算
⑨源泉所得税の納付
7.まとめ
このように、翌年1月の納付期限等に向けて、年末調整の事務作業はスケジュール管理を行います。11月、12月の作業内容は、一般的なものをご紹介しておりますので、事業所の従業員数や作業の進捗具合により前後します、あくまでも参考としてご利用ください。年末調整の手続きについて、ご不明な点がございましたら、身近な専門家に相談されることをお勧め致します。