年末調整は、その年の最後の給与を支払う際に行われ、各従業員の年間の所得税額の決定と精算が行われます。
しかし、何らかの年末調整に必要な情報が相違して、修正が必要となる場合があります。年末調整の修正を再調整といいます。
今回は、年末調整の再調整が生じる事例毎に、対処法をご紹介致します。
1.なぜ年末調整の再調整の必要が発生するのか?
年末調整は、その年の最後の給与を支払う際に行われ、給与支払時の年末調整時点で配偶者控除や扶養控除、障害者控除等の判定をして控除額の計算をします。しかし、年末調整が終了後にから12月31日の間に、控除対象配偶者や控除対象扶養親族の異動が行われる人、社会保険料や生命保険料の追加の支払いがある人もいます。
所得税法では、その年の12月31日の状況で控除対象配偶者や控除対象扶養親族、支払保険料の判定を行うこととされているため、このような人は年末調整で計算をした所得税額と、その人が本来納めるべき所得税が異なってしまいます。
このような場合に、再調整が必要となります。
2.年末調整の後に給与の追加払いがある人の場合
まず再調整が発生する事例として、年末調整の後に給与の追加払いがある場合が考えられます。①年末調整が終了した後、本年中に本年分の給与を追加払いした場合
本年分の給与の総額に追加支給をした給与の支払額を加算して、年末調整の再調整をします。
②年末調整が終了した後、翌年に給与の改定で本年分の給与を追加払いした場合
翌年分の給与の支払金額になるため、年末調整の再調整は不要です。
3.年末調整の後に扶養親族等が移動した場合
次に、再調整が発生する事例として、年末調整の後に扶養親族等の異動がある場合が考えられます。①年末調整後に扶養親族等が増える場合
年末に結婚や出産等により控除対象扶養親族が増えた人は、給与所得者の扶養控除等申告書の申告により年末調整の再調整をし、所得税の還付を受けることが出来ます。
年末調整の再調整が出来るのは、その年分の給与所得の源泉徴収票が交付される翌年の1月末日までとなり、それまでに出来ない場合には、確定申告によって所得税の還付を受けることになります。
②年末調整後に扶養親族等が減る場合
年末に離婚や子供の就職等により控除対象扶養親族が減った人は、給与所得者の扶養控除等申告書の申告により、年末調整の再調整をし、所得税の不足額が徴収されます。
不足額の徴収が行われる年末調整の再調整は、その翌年の1月末日以降であっても行う場合があります。
③年末調整後に配偶者特別控除の金額が相違することが判明した場合
年末調整の終了後に、配偶者特別控除申告書の配偶者の合計所得金額の見積額に差額が生じた場合には、配偶者特別控除額が変動することがあり、その際には年末調整の再調整を行うことが出来ます。
年末調整の再調整が出来るのは、その年分の給与所得の源泉徴収票が交付される翌年の1月末日までとなり、それまでに出来ない場合には、確定申告によって所得税の還付又は不足額の納付をすることになります。
④年末調整後に保険料を支払った場合
年末調整の終了後に、社会保険料等を支払った人は、給与所得者の保険料控除申告書の申告により年末調整の再調整をし、所得税の還付を受けることが出来ます。
年末調整の再調整が出来るのは、その年分の給与所得の源泉徴収票が交付される翌年の1月末日までとなり、それまでに出来ない場合には、確定申告によって所得税の還付を受けることになります。
4.まとめ
このように、年末調整の終了後から12月31日までの間に、年末調整に必要な情報が相違した場合には、年末調整の再調整を勤務先で受けることが出来ます。勤務先で再調整を受けることが出来ない場合には、従業員自身で確定申告を行う必要があるため、やむを得ない状況の場合以外は、年末調整時点までに必要な情報を揃えて勤務先に提供を行うようにしましょう。
ご不明な点がございましたら、身近な専門家に相談されることをお勧め致します。