税務調査は世間話から始まっている ! 調査官の驚くべきテクニック
税務・財務



これまでさまざまな税務調査に関する記事を掲載してきましたが、今回は「税務調査で言ってはいけないこと」を解説いたします。


この記事の目次

税務調査で言ってはいけないこと


税務調査を何度か受けると、不条理に感じることがあります。その典型例は、前回までの税務調査で否認指摘を受けなかったのに、今回の税務調査で否認指摘を受けることです。

今までの税務調査では通ったのだから、今回も大丈夫だろうと思うわけですが、ここで言ってはならないことがあります。
それは「以前の税務調査ではダメだと言われませんでしたよ ! 」という言葉です。

この言葉を言ってしまうと下記のようなことを調査官から言われてしまいます。

調査官:「これは認められませんね。」
社長:「何を言ってるんですか ? 以前の税務調査では何も言われませんでしたよ ! 」
調査官:「それは、以前の担当調査官が気付かなかっただけでしょう。」
社長:「それはおかしいでしょう。こちらも以前は何も言われなかったのですから、そのまま処理していて、何がおかしいんですか ! 」
調査官:「わかりました。本当は修正を3年で済ませようと思っていましたが、そうおっしゃるなら7年修正してもらいましょうか。」
社長:「・・・」

「火に油を注ぐ」とはまさにこのことで、以前の税務調査で指摘されなかったことを主張すれば、調査官としては最大年分まで遡って追徴税額を払わせよう、と思うわけです。

追徴税額は払わないといけないのか


上記の調査官とのやり取りの中で、調査官が主張していることの方が正しいため、追徴税額は支払わなければなりません。つまり「以前の税務調査で何も言われなかったとしても、それが今後も大丈夫だということの保証ではない」ということです。

これは法律的にも正しいと言えるため、税務調査は将来の正しさを保証する行為ではないのです。

税務調査は「今後も大丈夫」という保証ではない。
初めて指摘されたことに対して「以前の税務調査ではダメだと言われなかった 」は言わないこと


税務調査は調査官によって見るポイントが違う


税務調査というのは、日数も限られていますし、調査官によって見るポイントも違います。ですから、誤りがあっても気付かれないこともあります。これが現実です。だからこそ、その「非」を攻めてしまうと、調査官も「実際に間違っているんだから、じゃあいくらでも遡って追徴するぞ」となってしまうわけです。

何度も言いますが「以前の税務調査ではダメだと言われませんでしたよ ! 」という言葉は、グッと飲みこむようにしましょう。

税務調査の現場で話しすぎは禁物 ?


税務調査は通常、朝10時から始まります。そこでまず調査官は、世間話から切りだしてきます。「最近めっきり寒くなりましたね」「先日の地震の影響は大丈夫でしたか ? 」などなど。

社長からすると、「前置きはどうでもいいから、早く税務調査を始めてくれよ ! 忙しいんだから」と思うでしょうが、調査官からすると、世間話も大事な税務調査のテクニックの1つなのです。

調査官は世間話で社長の心を開こうとしている


税務調査を喜ぶ社長はいません。ですから特に税務調査初日は、社長が調査官を警戒しているのが当然です。調査官も警戒されたままでは、社長が質問に対してまともに答えてくれるわけがありません。
だからこそ、世間話をすることで、社長に心を開いてもらうことから始めるのが調査官のテクニックなのです。

社長も話すことに慣れてくると、調査官はどんどん話し込んできます。

調査官:「社長はゴルフが好きなんですか ? 」
社長:「そうですね、まあたまに行きますかね。付き合いもありますし。」
調査官:「どれくらいのスコアでまわられるんですか ? 」
社長:「うーん、最近はダメでやっと100切れるくらいかな~」
調査官:「月に何回くらいゴルフに行かれますか ? 」
社長:「月に2、3回かな」
調査官:「プライベートでは誰と行ったりするんですか ? 」
社長:「プライベートでは、仲の良い社長連中と行ってるよ」
調査官:「プライベートで行っているゴルフも会社の経費になってるんじゃないですか ? 」
社長:「・・・」

これは非常に簡単な例ですが、社長が話し過ぎたことで、プライベートの経費を否認されてしまう典型例です。

調査官の質問に対して「嘘は言わないが、本当のことも言わない」


では、「調査官の質問に対して無視をすればいいのでは ? 」と思われるかもしれませんが、これはダメです。
税務調査は「受忍義務」があるので、質問には答えなければなりません。

しかし、話し過ぎもダメなのです。税務調査を受けるうえで大事なのは、「嘘は絶対に言うな。しかし、本当のことも言うな」これが鉄則なのです。

税務調査では「嘘は言わない、本当のことも言わない」が鉄則




まとめ


いかがでしたか ? 次の税務調査は「以前の税務調査ではダメだと言われませんでしたよ ! 」と「嘘は言わないが、本当のことも言わない」を鉄則にしてみてください。

ご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。
参照 : SHARES 田中雅明税理士事務所 田中雅明のページ

その他税務調査に関することは以前掲載した下記記事をご参照ください。

参照 : 税務調査の下調べとは ? わかっていれば怖くない「税務調査事前対策」

参照 : 税務調査のポイントまとめ ! 事前通知から当日の流れまでを詳細解説

参照 : 税務調査の調査官にはノルマがある ? ! 税務署の組織理論と調査官の役割について解説

参照 : 税務調査で指摘を受けないために ! 外注費と給与の判断ポイントを税理士が徹底解説

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