給料とは取り扱いが違う!退職所得とは?
税務・財務


確定申告は年間で得た所得について所得税を精算するものです。所得税の計算基礎となる所得の集計は所得の種類毎に行う必要があり、その所得の種類は10種類に分かれます。この10種類の所得のうち、勤務先から支給されるという点で同一である退職所得と給与所得とは混同をしてしまいがちです。
今回は、混同しないよう、退職所得についてご紹介致します。

この記事の目次

1.退職所得とは

①退職所得とは

退職所得とは、退職により勤務先から受ける退職手当等の所得をいい、社会保険制度などにより退職に基因して支給される一時金、適格退職年金契約に基づいて生命保険会社又は信託会社から受ける退職一時金なども退職所得とみなされます。

また、労働基準法第20条の規定により支払われる解雇予告手当や賃金の支払の確保等に関する法律第7条の規定により退職した労働者が弁済を受ける未払賃金も退職所得に該当します。

②給与所得とは

一方で給与所得とは、給与所得とは、勤務先から受ける給料、賃金、賞与等の所得をいいます。その所得を得るにあたり、退職を起因としない点が、退職所得とは異なります。

2.退職所得に該当をするもの

一般的な退職金といわれるものの他に、下記のようなものが退職所得に該当をします。

①退職手当等とみなされる一時金

下記に該当をする一時金は、退職手当等とみなされ、退職所得に該当をします。

・国民年金法、厚生年金保険法、国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法、私立学校教職員共済法及び独立行政法人農業者年金基金法の規定に基づいて支給される一時金
・改正前の船員保険法の規定に基づく一時金
・地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律附則の規定に基づく一時金
・厚生年金保険制度及び農林漁業団体職員共済組合制度の統合を図るための農林漁業団体職員共済組合法等を廃止する等の法律附則第30条の規定に基づく一時金
・石炭鉱業年金基金法の規定に基づく一時金で坑内員又は坑外員の退職に基因して支払われるもの
・改正前の厚生年金保険法の規定に基づく一定の一時金で加入員の退職に基因して支払われるもの
・確定給付企業年金法の規定に基づいて支給を受ける一時金で加入者の退職により支払われるもの
・特定退職金共済団体が行う退職金共済制度に基づいてその被共済者の退職により支給される一時金
・独立行政法人勤労者退職金共済機構が中小企業退職金共済法の規定により支給する退職金
・独立行政法人中小企業基盤整備機構が小規模企業共済契約に基づいて支給する一定の共済金又は解約手当金
・適格退職年金契約に基づき支給される退職一時金
・平成25年厚生年金等改正法附則又は改正前の確定給付企業年金等の規定に基づいて支給を受ける一定の一時金で加入員又は加入者の退職により支払われるもの
・確定拠出年金法に規定する企業型年金規約又は個人型年金規約に基づいて老齢給付金として支給される一時金
・独立行政法人福祉医療機構が社会福祉施設職員等退職手当共済法の規定により支給する退職手当金
・外国の法令に基づく保険又は共済に関する制度で、上記の規定による社会保険又は共済に関する制度に類するものに基づき支給される一時金で、その制度の被保険者又は被共済者の退職により支払われるもの

②引き続き勤務する人に支払われる給与で退職手当等とされるもの

下記に該当をする給与は、退職の実態を伴わないものの、退職手当等とみなされ、退職所得に該当をします。

・新たに退職給与規程を制定し、又は中小企業退職金共済制度や確定拠出年金制度へ移行するなどの相当の理由により従来の退職給与規程を改正した場合に、使用人に対し制定前又は改正前の勤続期間に係る退職手当等として支払われるもの
・使用人から役員になった人に対し、使用人であった勤続期間に対する退職手当等として支払われるもの
・役員の分掌変更等により、例えば、常勤役員から非常勤役員になったこと、分掌変更等の後の報酬がおおむね50%以上減少したことなど、職務の内容や地位が激変した役員に対して、分掌変更等の前の役員であった勤続期間に対する退職手当等として支払われるもの
・いわゆる定年に達した後引き続き勤務する使用人に対して、定年に達する前の勤続期間に対する退職手当等として支払われるもの
・労働協約等の改正により、いわゆる定年を延長した場合に、旧定年に達した使用人に対し、旧定年に達する前の勤続期間に対する退職手当等として支払われるもので、その支給をすることにつき相当の理由があると認められるもの
・法人解散後に引き続き役員又は使用人として清算事務に従事する人に対して、解散前の勤続期間に対する退職手当等として支払われるもの

③使用人から執行役員への就任に伴い退職手当等として支給される一時金

使用人期間に対する退職金として退職手当等を支給する際に下記の全てを満たす場合は、会社そのものの退職の実態を伴わないものの、退職手当等とみなされ、退職所得に該当をします。

・執行役員との契約は、委任契約又はこれに類するものであり、かつ、執行役員退任後の使用人としての再雇用が保障されているものではないこと
・執行役員に対する報酬、福利厚生、服務規律等は役員に準じたものであり、執行役員は、その任務に反する行為又は執行役員に関する規程に反する行為により使用者に生じた損害について賠償する責任を負うこと

④受給者が掛金を拠出することにより退職に際して使用者から支払われる一時金

使用人が在職中に使用者に対して所定の掛金を拠出することにより退職に際してその使用者から支払われる一時金は、退職手当等とされ、退職所得に該当をします。

⑤過去の勤務に基づき使用者であった者から支給される年金に代えて支払われる一時金

過去の勤務に基づき使用者であった者から支給される年金の受給資格者に対し、その年金に代えて支払われる一時金については、その一時金のうち、退職の日以後その年金の受給開始日までの間に支払われるものは退職手当等とされます。

⑥解雇予告手当

労働基準法第20条の規定により、使用者が予告をしないで労働者を解雇する場合に、その使用者から支払われる予告手当は、退職手当等とされ、退職所得に該当をします。

⑦確定給付企業年金法等の規定に基づいて支払われる一時金

下記に該当をする一時金は、退職手当等とみなされ、退職所得に該当をします。

・確定給付企業年金規約、厚生年金基金規約又は適格退職年金契約に基づいて支給される年金の受給資格者に対しそれぞれの年金に代えて支払われる一時金のうち、退職の日以後それぞれの年金の受給開始日までの間に支払われるもの又はそれぞれの年金の受給開始日後に支払われる一時金で、将来の年金給付の総額に代えて支払われるもの
・確定拠出年金法に規定する企業型年金規約又は個人型年金規約に基づく年金の受給開始日後に支払われる一時金のうち、将来の年金給付の総額に代えて支払われるもの
・確定給付企業年金規約の加入者又は厚生年金基金若しくは適格退職年金契約の加入員に対し、退職に準じた事実等が生じたことに伴い加入者又は加入員としての資格を喪失したことを給付事由として支払われる一時金

⑧未払賃金立替払制度に基づき国が弁済する未払賃金

事業主の倒産等により賃金の支払を受けないで退職した労働者に対し、国がその使用者に代わって未払賃金を弁済するといういわゆる未払賃金立替払制度に基づいて労働者が国から弁済を受けた給与は、その労働者が退職した日の属する年分の退職手当等とされ、退職所得に該当をします。

3.退職所得金額の計算

①退職所得金額の計算

課税の対象となる退職所得の金額は、原則として下記の算式によって計算をされます。
(源泉徴収される前の収入金額△退職所得控除額)×1/2

②退職所得控除額

退職所得控除額は、勤務年数が20年以下の場合は、40万円に勤務年数を乗じた金額であり、この金額が80万円に満たない場合には、80万円とされます。
勤務年数が20年超の場合は、70万円に20年を超える年数を乗じ、それに800万円を加えた金額です。

4.退職所得と給与所得の所得税の違い

同一の金額の支給を受ける場合には、退職所得として得た方が課税される所得税が少なくなります。
例えば10年勤務した人が300万円の支給を受けた場合には、退職所得として受けた場合と給与所得として受けた場合には、下記のように所得税が異なります。

①退職所得として支給を受けた場合

退職所得の金額は、収入金額である300万円から退職所得控除額を差し引いた金額に、1/2を乗じたものです。
退職所得控除額は、40万円に勤務年数10年を乗じた400万円となり、これを300万円から差し引くと△100万円となり、1/2を乗じると退職所得金額は△50万円となります。
△50万円は0円とみなされ、所得税は課税されません。

②給与所得として支給を受けた場合

給与所得の金額は、収入金額である300万円から給与所得控除金額を差し引いた金額です。
給与所得控除額は、300万円に30%を乗じて8万円を加算した金額である98万円となり、これを300万円から差し引くと給与所得金額は202万円となります。
202万円に対する所得税は約11万円であることから、退職所得と比較をすると10万円以上の所得税の課税が発生します。

5.まとめ

退職所得が退職に伴い生じるものであることから、退職後の生活の保護のため、所得税の課税される金額は、同額の給与所得よりも低くされています。
このように納めるべき所得税額が異なることから、退職所得と給与所得とは明確に区分を行う必要があります。

確定申告や所得税について、ご不明な点がございましたら、身近な専門家に相談されることをお勧め致します。

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