インボイス制度の開始に伴い、適格請求書(インボイス)を発行するためには、適格請求書発行事業者に登録をする必要があります。
適格請求書発行事業者に登録するためには課税事業者であることが必須要件ですが、原則として免税事業者である新設法人は適格請求書発行事業者になることが出来るのでしょうか。
今回は適格請求書発行事業者になりたい新設法人が行うべき手続きについてご紹介致します。
- 1.新設法人は原則として免税事業者
- 2.適格請求書発行事業者になるための手続き① 消費税課税事業者選択届出書
- 3.適格請求書発行事業者になるための手続き② 適格請求書発行事業者の登録申請書
- 4.新設法人が令和5年10月1日から適格発行事業者になるためには
- 5.まとめ
1.新設法人は原則として免税事業者
免税事業者とは、消費税を納める義務の無い事業者のことをいいます。消費税では、その課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者は、その課税期間における課税資産の譲渡等について、納税義務が免除されます。基準期間とは、法人の場合は前々事業年度の課税売上高のことをいい、新設法人はこの基準期間が存在しないことから、原則として免税事業者となります。
2.適格請求書発行事業者になるための手続き① 消費税課税事業者選択届出書
適格請求書発行事業者に登録をするためには、課税事業者であることが必須要件です。よってまず新設法人は課税事業者になることを選択する必要があります。 課税事業者になることを選択するためには、消費税課税事業者選択届出書の提出が必要です。この提出期限は原則として適用を受けようとする課税期間の初日の前日までですが、新設法人の場合はその課税期間中に提出を行うことで、課税事業者になることが出来ます。3.適格請求書発行事業者になるための手続き② 適格請求書発行事業者の登録申請書
適格請求書発行事業者になるためには、適格請求書発行事業者への登録申請が必要です。インボイス制度が導入される令和5年10月1日から登録を受けようとする事業者は、令和5年3月31日までに納税地を所轄する税務署長に登録申請書を提出する必要があります。しかし新設法人については、事業を開始した日の属する課税期間の初日から登録を受けようとする旨を記載した登録申請書を、事業を開始した日の属する課税期間の末日までに提出した場合において、税務署長により適格請求書発行事業者登録簿への登載が行われたときは、その課税期間の初日に登録を受けたものとみなされます。
4.新設法人が令和5年10月1日から適格発行事業者になるためには
上記のように、新設法人が適格請求書発行事業者になるためには、消費税課税事業者選択届出書と適格請求書発行事業者の登録申請書の提出が必要です。インボイス制度の導入と同時に他の事業者が適格発行事業者になるためには、インボイス制度の導入前の令和5年3月31日までにその手続きを行う必要がありますが、新設法人については、その課税期間中に手続きをとれば良いとされています。
例えば、令和5年10月1日に設立した法人が、消費税課税事業者選択届出書及び適格請求書発行事業者の登録申請書の提出を令和5年11月1日に行った場合、設立から提出までの1ヶ月間についても、適格請求書発行事業者として認められることになります。
5.まとめ
上記のように、新設法人は原則として免税事業者であり、免税事業者のままでは適格請求書発行事業者になることは出来ません。
免税事業者であることは消費税の納税義務が無く、金銭的な負担が少ないですが、インボイス制度の導入に伴い、適格請求書を発行することが多くの場面で求められ、課税事業者である適格請求書発行事業者になることを選択せざる得なくなる新設法人が多くなることでしょう。法人の設立を考える際には、必ず検討をするべき事項となってきます。
ご不明な点がございましたら、身近な専門家に相談されることをお勧め致します。
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