事業復活支援金の支給を受けるためには、新型コロナウイルス感染症の影響を受け売上が減少したという事実があることを要件としています。
それでは、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた、と認められるものとは具体的にはどのような事態をさすのでしょうか。
今回は、事業復活支援金に必要な「コロナの影響による」売上減についてご紹介致します。
1.事業復活支援金の支給要件
事業復活支援金の支給を受け取るためには、下記の2つの要件を満たす必要があります。この2つの要件のうち、①における「コロナの影響」とは、以降でご紹介します9つの影響のことをいいます。
①新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者
②2021年11月から2022年3月のいずれかの月の売上高が、2018年11月から2021年3月までの間の任意の同じ月の売上高と比較して50%以上又は30%以上50%未満減少した事業者
影響① 国や地方自治体による、自社への休業・時短営業やイベント等の延期・中止その他のコロナ対策の要請に伴う、自らの財・サービスの個人消費の機会の減少
具体例としては、まん延防止等重点措置の対象となった自治体の休業・時短営業要請 を受けて、自社の営業時間を短縮したことによる売上減少、自治体による三密回避の要請を受けて、客席の間隔を広げ、回転率が減少したことによる売上減少等が挙げられます。
影響② 国や地方自治体による要請以外で、コロナ禍を理由として顧客・取引先が行う休業・時短営業やイベント等の延期・中止に伴う、自らの財・サービスの個人消費の機会の減少
具体例としては、卸先の店舗が、自治体からの要請は出ていないが、コロナ禍を理由に事 業者判断で休業となったことによる売上減少、出演予定のイベントが、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の対象地域ではないものの、主催者判断で中止となったことによる売上減少等が挙げられます。
影響③ 消費者の外出・移動の自粛や、新しい生活様式への移行に伴う、自らの財・サービスの個人需要の減少
具体例としては、コロナ禍を理由に店舗立地地域の人流往来が減少し、来店者数が減 少したことによる売上減少、コロナ禍を理由に対面からリモートでのコミュニケーションに変化し、衣料品や交通サービスの需要が減少したことによる売上減少等が挙げられます。
影響④ 海外の都市封鎖その他のコロナ関連規制に伴う、自らの財・サービスの海外現地需要の減少
具体例としては、海外の現地規制により、現地販売イベントが中止となったことによる売上減少、海外の都市封鎖が措置されたことにより、自社の部品を納入している製造工場が休業となったことによる売上減少等が挙げられます。
影響⑤ コロナ関連の渡航制限等による海外渡航者や訪日渡航者の減少に伴う、自らの財・サービスの個人消費機会の減少
具体例としては、政府の水際対策により、主要な客層である訪日渡航者が減少したことに よる売上減少、移動自粛や各国の入国制限等に伴う海外渡航者の減少により、提供する旅行商品の需要が減少したことによる売上減少等が挙げられます。
影響⑥ コロナ禍を理由とした供給減少や流通制限に伴う、自らの財・サービスの提供に業務上不可欠な財・サービスの調達難
具体例としては、コロナ禍を理由に船舶・港湾等の稼働低下・国際的な物流の滞留が生じ、自社の商品製造において業務上不可欠な部素材が調達できないために、商品の製造数が減少したことによる売上減少、コロナ禍を理由に、自社の商品製造に業務上不可欠な部素材の調達先が操業を停止しており、他社からの調達や代替品の調達もできないために、商品の 製造数が減少したことによる売上減少等が挙げられます。
影響⑦ 国や地方自治体による休業・時短営業やイベント等の延期・中止その他のコロナ対策の要請に伴う、自らの財・サービスの提供に業務上不可欠な取引や商談機会の制約
具体例としては、自社の商品開発に業務上不可欠な部素材の調達について商談・交渉予定であったBtoBの展示会が、自治体の要請を受けて中止になったことにより、商品製造に支障を来したことによる売上減少、自社の立地地域が緊急事態措置の対象となり、人流抑制の要請を受けて、自社のサービス展開に向けて業務上不可欠なBtoBの取引機会が失われたことによる売上減少等が挙げられます。
影響⑧ 国や地方自治体による就業に関するコロナ対策の要請に伴う、自らの財・サービスの提供に業務上不可欠な就業者の就業制約
具体例としては、自治体の指示によるコロナ禍の就業規制により、就業人数の制約を受け、自社の商品製造のために必要な人数を確保できず、商品の製造数が減少したことによる売上減少、自社のサービス提供に業務上不可欠な専門人材が、コロナ罹患又は濃厚接触者となり、国や自治体の指示により就業規制を受けたことにより、サービス提供が困難になったことによる売上減少等が挙げられます。
影響⑨ 顧客・取引先が①から⑧のいずれかの影響を受けたことに伴う、自らの財・サービスへの発注の減少
具体例としては、卸先の飲食店が、自治体の休業・時短営業要請を受けて営業時間を短縮し、卸売需要が減少したことによる売上減少、コロナ禍を理由に自社製品を納入している他社店舗の立地地域の人流往来が減少し、来店可能者数が減少したことにより、自社製品の卸数が減少したことによる売上減少等が挙げられます。
ご紹介しました通り、事業復活支援金の支給要件には、30%以上の売上減少の事実が必要ですが、この売上減少が新型コロナウイルス感染症の影響によらず、下記のようなものを原因とする場合には、支給要件を満たしません。
また、事業復活支援金の申請のための必要書類として、新型コロナウイルス感染症の影響を受けたことの証明書は原則として必要ありませんが、自治体等の要請文、他者がコロナ禍を理由として休業・時短営業等を行ったことが分かる公表文、自らの事業との関連性を示す書類等の新型コロナウイルス感染症の影響を受けたことについて、その裏付けとなる書類の追加提出が求められる場合があります。
①夏場の海水浴場のように事業活動に季節性があるもの、農作物のように出荷時期が限られているもの等、実際に事業収入が減少したわけではないにも関わらず、通常事業収入を得られない時期を対象月とすることにより、算定上の売上が減少している場合
②売上計上基準の変更や顧客との取引時期の調整により売上が減少している場合
③要請等に基づかない自主的な休業や営業時間の短縮、商材の変更、法人成り又は事業承継の直後などで単に営業日数が少ないこと等により売上が減少している場合
2.不正受給をした場合
新型コロナウイルス感染症の影響を受けていないにも関わらず、事業復活支援金を申請し、支給後に影響を受けていないことが発覚した場合には、給付を受けた支援金について、その全額に受給の日の翌日から返還の日まで、年3パーセントの割合で算定した延滞金を加え、これらの合計額にその2割に総渡島する額を加えた額を支払う義務を負います。3.まとめ
上記のように、事業復活支援金の支給を受けるためには、新型コロナウイルス感染症の影響を受けたことによる30%以上の売上減少の要件を満たす必要があります。自社の売上減少が新型コロナウイルス感染症の影響を受けたことに起因すると認められるか等、ご不明な点がございましたら、身近な専門家に相談されることをお勧め致します。
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