印紙税の納付は課税対象となる文書に収入印紙を貼付し消印をすることが原則とされていますが、多量の契約書を作成する必要がある業種では、この方法が非常に負担となる場合があります。この負担を軽減するために、印紙税には様々な納付方法があります。
今回は印紙税の様々な納付方法についてご紹介致します。
1.原則の納付方法、収入印紙の貼付による方法
まずは原則的な印紙税の納付方法を確認しましょう。印紙税は課税文書の作成者が納付すべき税金です。この税額は課税文書の種類や課税文書に記載された金額によって決定がされます。印紙税額は課税文書の作成者が確認をし、この印紙税額相当の収入印紙を郵便局等で購入する必要があります。購入時点では納付は完了していません。
購入した収入印紙を課税文書に貼付し、消印を行うことで納付が行われたとみなされます。
また電子化が進み近年ではPDFファイルによる契約書の収受、クラウド型の電子契約等が行われています。紙面で交付を行う契約書は一般的には課税文書に該当をし一定金額以上の契約には印紙税が課税されますが、PDFファイル等の電子契約は、課税文書の作成に該当をしないため、印紙税の納付は不要となります。
2.税印を押す方法
課税文書の作成者は、その課税文書に収入印紙を貼付することに代えて、税印を押すことが出来ます。この方法は、課税文書が一時に多量に作成されるような場合に、その課税文書にいちいち収入印紙を貼付することのわずらわしさを避けるために設けられたものであり、その方法は、あらかじめ印紙税を金銭で納付して、特定の税務署に設置されている税印押なつ機により税印を押すものです。税印は、機械的な圧力により紙面に凹凸の印影をつけることにより表示されます。
3.印紙税納付計器により納付印を押す方法
課税文書の作成者は、税務署長の承認を受けて印紙税納付計器を設置し、この計器によって課税文書に納付印を押すことが出来ます。この方法は、種々の形態の課税文書が継続的に作成されるような場合に、その課税文書に収入印紙を貼付することのわずらわしさを避けるために設けられたものであり、その方法は、あらかじめ印紙税を金銭で納付してその金額を印紙税納付計器にセットしておき、そのセットした金額の範囲内で、その課税文書の作成者が自ら納付印を押すものです。納付印は、印紙税額が表示されたスタンプです。
なお、この納付印は、どのような種類の課税文書にも、また、承認を受ければ設置者が受け取る課税文書にも押すことができます。
4.書式表示による方法
特定の課税文書の作成者は、税務署長の承認を受けて、課税文書に所定の書式を表示することにより、金銭でもって印紙税を納付することが出来ます。この方法は、同一種類の課税文書が継続的に作成されたり一時に多量に作成されたりする場合に、その課税文書に収入印紙を貼付することのわずらわしさを避けるために設けられたものであり、その方法は、課税文書に一定の書式を表示するとともに、1ヶ月間の作成数量を翌月末日までにとりまとめて申告し、その申告に係る印紙税額を金銭で納付するというものです。
5.まとめ
上記のように、課税文書が多量に作成される場合等において、収入印紙の貼付がわずらわしいものであると認められた場合には、貼付に代えて他の簡便的な方法を選択することが出来ます。貼付以外の方法を採用するためには、税務署に届け出を行い、その方法の採用を行うことについて承認を受ける必要がありますので、手続きを事前に確認をしなくてはなりません。
印紙税や収入印紙の取り扱い等についてご不明な点がございましたら、身近な専門家に相談されることをお勧め致します。
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