印紙税の節税!電子契約にはなぜ収入印紙が不要なの?
税務・財務


一般的に契約書を交わす場合には、その契約書の作成者が収入印紙を貼付することで印紙税を納付する必要があります。しかし同じような内容の契約書を交わしても印紙税が不要となる場合があります。それが契約の形態が電子契約による場合です。
今回は電子契約にはなぜ収入印紙が不要であるかについてご紹介致します。

この記事の目次

1.収入印紙が必要となる文書


収入印紙が必要となる文書、つまり印紙税を納付すべき文書とは課税物件表の物件名欄に掲げられている文書です。これを課税文書といいます。
課税物件表には、第1号の不動産の譲渡に関する契約書等から、第20号の判取帳まで特定の文書を20の号に分類し、それぞれ区分された号ごとに文書の名称、定義、課税標準、税率等が定められています。
第1号の不動産の譲渡に関する契約書等にあるように、一般的な契約書は印紙税を納付すべき文書と定められています。

2.契約書とは

課税文書に該当をする契約書とは、印紙税法別表第一の課税物件表の適用に関する通則の5において、「契約の成立若しくは更改又は契約の内容の変更若しくは補充の事実を証すべき文書をいい、念書、請書その他契約の当事者の一方のみが作成する文書又は契約の当事者の全部若しくは一部の署名を欠く文書で、当事者間の了解又は商慣習に基づき契約の成立等を証することとされているものを含むものとする。」と規定されています。
よって契約書の書式等に左右されるものでは無く、内容によって契約書に該当をすると判断される文書のことをいいます。

3.収入印紙を貼付すべき人

収入印紙を貼付すべき人は、課税文書の作成者であり、課税文書の作成をした時に納税義務が成立するとされています。
課税文書の作成をした時とは、単なる課税文書の調製行為をいうのではなく、課税文書となるべき用紙等に課税事項を記載し、これをその文書の目的に従って行使することをいいます。 契約当事者の意思の合致を証明する目的で作成される一般的な契約書であれば、その証明を行った時点を、作成をした時と判断します。

4.電子契約とそのメリット

契約書の交付形態は、契約書を作成し書面で対面にて交付する形態ばかりではありません。従来ではこの書面契約における契約方法が主流でしたが、現在においては電子契約における契約方法が多く採用されています。

電子契約とは、電子データの契約書に電子署名をおこなうことで契約を締結する方法のことをいいます。
書面契約では紙の形式により交付していたものが電子契約では電子データとなり、押印が印鑑の捺印であったものが電子署名となる等、様々な点で書面契約と電子契約ではその契約における手法が異なります。
手法が異なることのみならず、電子契約では収入印紙が不要となることから、書面契約と比較をすると印紙税が節税することが出来るという点で、電子契約には最大のメリットがあります。

印紙税の節税のみならず、書面契約にて契約書を対面で交付する場合には交付相手とのスケジュール調整や移動時間や交通費の負担が生じ、また郵送で交付する場合には郵送料の負担が生じる、保管を紙面で行うための場所を確保する必要が生じる、等があることから、それらの負担を削減できることが電子契約のメリットです。

5.電子契約にはなぜ収入印紙が不要なの?

同じような内容の契約を行う場合であっても、書面契約では収入印紙が必要となるものの、電子契約では収入印紙が不要となります。 上記の2でご紹介しました通り、作成した書面が印紙税の課税対象となるかは、契約書の書式等に左右されるものではありません。

それではなぜ電子契約には収入印紙が不要なのでしょうか。
それは電子契約における契約書の作成行為は、印紙税法上の作成に該当をしないためです。

上記の3でご紹介しました通り、契約の成立を証するために作成される書類は、原則としてその作成者が印紙税を納付する必要があります。
しかしながら、契約書の調製行為を行ったとしても、現物の交付がなされない以上、たとえ契約書を電磁的記録に変換した媒体を電子メールで送信したとしても、課税文書を作成したことにはならないため、印紙税の課税原因は発生しないこととされています。
つまり現物の交付がされないことが、収入印紙が不要となる最大の理由となっています。

6.収入印紙が不要となるケース

上記のように、電子契約には収入印紙が不要となります。具体的にどのような場合が不要となるか、事例を紹介致します。

電子メールで契約書をPDF等で送付した場合

電子メールで契約書を送付した場合、現物の交付をしたことには該当をしないため、収入印紙は不要です。また、送付されたPDFをプリントアウトした場合においても、そのプリントアウトされたPDFは現物ではなく複製された契約書とみなされるため、同様に現物の交付をしたことには該当をしないため、収入印紙は不要です。

ファックスで契約書を送付した場合

紙面が送付されますが、ファックスの場合も現物を交付したことには該当をしないため、収入印紙は不要です。

クラウドソーシングサービス上で契約を行った場合

こちらも現物が交付したことには該当をしないため、収入印紙は不要です。

7.電子契約のデメリット

収入印紙が不要となることは、印紙税が最大でひとつの課税文書につき60万円納付する必要があることから、多額の節税となり、とてもメリットの大きいものです。 しかし、電子契約にはデメリットもあります。デメリットについて何点かご紹介致します。

書面契約より保護がされにくい


電子的に作成し押印された契約書は、改ざんが書面に印刷され押印された契約書よりも改ざんがしやすいものであるといえます。よって書面契約よりも契約内容が保護されにくい状況にあります。
この保護のされにくさが、電子契約では収入印紙を不要とされている理由のひとつであるともいわれています。

電子契約のための環境整備がいる


従来書面契約をもって契約を行っていた事業者が、その形態を電子契約に変更をするためには、その作成のための電子機器やソフトウェア等の機器の環境整備が必要となります。 また、機器のみならず業務フローとして契約書の作成交付に携わる従業員の労働環境の整備も必要となります。

自社だけでの判断では導入することが出来ない場合がある


ペーパーレス化が推奨される社会でありながらも、それを良いと思わない人が一定数存在します。自社が契約の形態を書面契約から電子契約に変更をすることを決めても、交付される側が承諾をしないと契約そのものが出来なくなってしまいます。
契約書を交付する自社の判断のみならず、交付される契約者の同意を得る必要があります。

8.まとめ

上記のように、同じような内容の契約を締結する場合であっても、その形態を書面契約から電子契約に変更をするだけで、収入印紙が不要、つまり印紙税を節税することが出来ます。
節税の観点のみならず、社会としてペーパーレス化が推奨されているため、契約における形態は、電子契約への移行が進んでいくことでしょう。

しかし国としては税収が減少することとなるため、将来的に電子契約に対して何らかの課税がされることも考えられます。今後も最新の税制には注目をしていきたいところです。
ご不明な点がございましたら、身近な専門家に相談されることをお勧め致します。

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