投資時に優遇が受けられる!エンジェル税制における特定投資株式の取得に要した金額の控除等の特例
税務・財務

ベンチャー企業が成長し発展し行くことは、日本経済の成長に大切なことです。そのベンチャー企業を応援すべく、ベンチャー企業に投資を行う個人投資家の税負担を軽減する制度として、エンジェル税制があります。
今回は、エンジェル税制の内容のひとつである、特定投資株式の取得に要した金額の控除等の特例についてご紹介致します。

この記事の目次

1.エンジェル税制とは

エンジェル税制とは、ベンチャー企業に対する投資の促進を図る観点から、特定中小会社及び特定新規中小会社への投資を行った個人投資家について講じられた税制上の特例措置です。
ベンチャー企業へ投資した年に受けられる優遇措置として、特定投資株式の取得に要した金額の控除等の特例があります。

2.特定投資株式の取得に要した金額の控除等の特例

特定投資株式の取得に要した金額の控除等の特例を適用すると、平成15年4月1日以後に、居住者等が、特定中小会社の株式を払込みにより取得をした場合における一般株式等に係る譲渡所得等の金額または上場株式等に係る譲渡所得等の金額の計算については、その年中に払込みにより取得をした特定株式の取得に要した金額の合計額が控除されます。

1.特例の対象となる特定株式

下記の株式が対象となります。
・中小企業等経営強化法第6条に規定する特定新規中小企業者に該当する株式会社により発行される株式

・内国法人のうち、その設立の日以後10年を経過していない中小企業者に該当する一定の株式会社により発行される株式で、一定の投資事業有限責任組合契約に従って取得をされるもの又は一定の第一種電子募集取扱業務を行う者が行う電子募集取扱業務により取得をされるもの

・内国法人のうち、沖縄振興特別措置法第57条の2第1項に規定する指定会社で平成26年4月1日から令和4年3月31日までの間に同項の規定による指定を受けた会社により発行される株式

・内国法人のうち、認可金融商品取引業協会の規則においてその事業の成長発展が見込まれるものとして指定を受けている株式を発行する株式会社であって、その設立の日以後10年を経過していない中小企業者に該当する一定のものにより発行される株式で、一定の金融商品取引業者を通じて取得されるものであり、平成31年4月1日前に払込みにより取得をしたもの

・内国法人のうち、地域再生法に規定する平成28年3月31日までに確認を受けた認定地域再生計画に記載されている特定地域再生事業を行う株式会社で一定の中小企業者に該当するものにより発行される株式で、その確認を受けた日から同日以後3年を経過する日までの間に発行される株式であり、平成28年4月1日前に払込みにより取得をしたもの

・内国法人のうち、地域再生法に規定する認定地域再生計画に記載されている地域再生に資する事業を行う特定地域再生事業会社であって、中小企業者に該当する一定の株式会社により発行される株式であり、平成22年4月1日前に払込みにより取得をしたもの

2.控除対象特定株式の取得に要した金額

控除対象特定株式の取得に要した金額は、居住者等がその年中に払込みにより取得をした特定株式の銘柄ごとに、その払込みにより取得をした特定株式の取得に要した金額の合計額をその取得をした特定株式の数で除して計算した金額に、その年中に払込みにより取得をした特定株式の数からその年中に譲渡または贈与したその特定株式と同一銘柄株式の数を差し引いた株数を乗じて計算した金額となります。

3.控除対象特定株式の取得に要した金額の控除方法

この特例適用前の一般株式等に係る譲渡所得等の金額を限度として、その取得の日の属する年分の一般株式等に係る譲渡所得等の金額の計算上控除し、なお控除しきれない金額があるときは、この特例適用前の上場株式等に係る譲渡所得等の金額を限度として、その取得の日の属する年分の上場株式等に係る譲渡所得等の金額の計算上控除します。

なお、雑損失の繰越控除が行われる場合には、この特例の控除を行った後、雑損失の繰越控除を行います。

4.特例の適用を受けた年の翌年以後の特定株式の取得価額

特例の適用を受けた年の翌年以後の各年分における控除対象特定株式に係る同一銘柄株式1株当たりの取得価額は、当該同一銘柄株式1株当たりの適用年の12月31日における取得価額から、措置法第37条の13条第1項の規定の適用を受けた金額を適用年の12月31日において有する当該控除対象特定株式に係る同一銘柄株式の数で除したものを差し引いた金額です。

5.投資家の要件

特定投資株式の取得に要した金額の控除等の特例を適用することが出来る投資家とは、下記に該当をする人をいいます。

・金銭の払込により、対象となる企業の株式を取得していること
・投資先ベンチャー企業が同族会社である場合には、持株割合が大きいものから第3位までの株主グループの持株割合を順に加算し、その割合が初めて50%超になる時における株主グループに属していないこと

3.特定投資株式の取得に要した金額の控除等の特例を適用するための投資家の手続き

エンジェル税制特定投資株式の取得に要した金額の控除等の特例を適用することで、個人投資家は譲渡所得を少なく計算することが出来る、つまり所得税や住民税において節税をすることが出来ます。
この特例を適用するためには、投資後に確定申告を行う必要があります。その確定申告の際に、下記の書類を添付します。

・都道府県知事の確認書又は認定投資事業有限責任組合が発行した確認書及び認定証の写し、若しくは認定少額電子募集取扱業者が発行した確認書及び認定証の写し
・発行会社が交付する一定の株主に該当しない旨の確認書
・株式投資契約書の写し
・株式異動状況明細書
・株式等に係る譲渡所得税等の金額計算明細書
・特定中小会社が発行した株式の取得に要した金額の控除の明細書


4.個人投資家がエンジェル税制を適用するメリット

特定投資株式の取得に要した金額の控除等の特例を適用することで、所得税や住民税の節税をすることが出来るほかに、エンジェル税制を適用することが出来る投資先のベンチャー企業は、経済産業省の事前審査で一定の要件を満たしている企業であることから、投資先への安心感が得られます。
また、エンジェル税制を適用せずとも、ベンチャー企業に投資をするということは様々な魅力があります。
ベンチャー企業は創業間もない企業が多く、このような企業が成長をしていくことを投資家として見守り出資という形で早期から参画することに意義を感じることが出来ます。

意義だけでなく、投資先がベンチャー企業であることにより、株式価値が出資額の数倍から数百倍にまで拡大する可能性があり、事業が成長した際にはそれに見合った利益が得られる可能性があります。
このように、金銭的な損得だけではない、投資先の特徴によるメリットが挙げることが出来ます。

5.まとめ

エンジェル税制のひとつである、特定投資株式の取得に要した金額の控除等の特例についてご紹介致しました。
確定申告では添付書類が多く、一般の上場株式との売買とは手続きが異なるため、難しく感じられる人が多い税制ですが、適用には様々なメリットがあります。
ご不明な点がございましたら、身近な専門家に相談されることをお勧め致します。

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