中小企業要領における、固定資産、繰延資産、リース取引の会計処理
税務・財務

中小企業が利用することが出来る簡便的な中小企業の実態に即した会計ルールとして、中小会計要領があります。 今回は、中小会計要領において規定されている、固定資産、繰延資産、リース取引の会計処理についてご紹介致します。

この記事の目次

1.固定資産の基本的な会計処理

1.固定資産は、有形固定資産(建物、機械装置、土地等)、無形固定資産(ソフトウェア、借地権、特許権、のれん等)及び投資その他の資産に分類する。


固定資産は、長期間にわたり企業の事業活動に使用するために所有する資産であり、上記のように、有形固定資産、無形固定資産及び投資その他の資産に分類されます。
有形固定資産とは営業目的で保有される有形の資産のことであり、土地や建物、車両、機械等が含まれます。
無形固定資産とは営業目的で保有される無形の資産のことであり、営業権や商標権等が含まれます。
投資その他の資産とは有形固定資産及び無形固定資産以外の営業目的で保有される資産のことであり、投資有価証券や出資金等が含まれます。

2.固定資産は、原則として、取得原価で計上する。


取得原価とは、その資産を営業目的に使用するために支出した金額の総額のことをいいます。
購入によって取得した場合には、購入代金に付随費用を含めた金額をいい、例えば機械を購入した場合には、機械の本体代と、それに係る設置費用や試運転の作業料等も取得原価に含めます。
固定資産を自家建設した場合には、適正な原価計算基準に従って製造原価を計算し、これに基づいて取得原価を計算します。建設に要する借入資本の利子で稼働前の期間に属するものは、これを取得原価に含めます。

株式を発行しその対価として固定資産を受け入れた場合には、出資者に対して交付された株式の発行価額をもって取得原価とします。
自己所有の固定資産と交換に固定資産を取得した場合には、交換に供された自己資産の適正な簿価をもって取得原価とします。自己所有の株式ないし社債等と固定資産を交換した場合には当該有価証券の時価又は適正な簿価をもって取得原価とします。
固定資産を贈与された場合には、時価等を基準として公正に評価した額をもって取得原価とします。

3.有形固定資産は、定率法、定額法等の方法に従い、相当の減価償却を行う。


建物や機械装置等の有形固定資産は、通常、使用に応じてその価値が下落するため、一定の方法によりその使用可能期間にわたって減価償却費を計上する必要があり、その計上の方法として、定率法や定額法等があります。
定率法とは、毎期一定の率で償却する方法であり、定額法とは、毎期一定の額で償却する方法です。
定率法は耐用期間の序盤に多くの減価償却費を計上し、耐用年数の終盤では定額法と比較をして減価償却費が少なく計上されるという特徴がありますが、どのような償却方法をとっても、耐用年数の全期間に資産を保有し続ける場合は、通年での計上される減価償却費は同額となります。

4.無形固定資産は、原則として定額法により、相当の減価償却を行う。


無形固定資産も価値の下落を反映するために減価償却費を計上する必要がありますが、その方法は定額法となります。

5.固定資産の耐用年数は、法人税法に定める期間等、適切な利用期間とする。


減価償却費を計上するための耐用年数は、法人税法に定められています。現実的に利用することが出来る年数とは異なります。
例えば自転車であれば、10年を超えて利用することが現実では可能ですが、税法上は2年で価値が無くなるものとされており、耐用年数として定められています。

6.固定資産について、災害等により著しい資産価値の下落が判明したときは、評価損を計上する。


減価償却により毎期、費用を計上していても、例えば、災害にあったような場合等予測することができない著しい資産価値の下落が生じる場合があります。このような場合には、上記のように、相当の金額を評価損として計上する必要があります。

2.繰延資産の基本的な会計処理

1.創立費、開業費、開発費、株式交付費、社債発行費及び新株予約権発行費は、費用処理するか、繰延資産として資産計上する。


繰延資産は、対価の支払いが完了し、これに対応するサービスの提供を受けたにもかかわらず、その効果が将来にわたって生じるものと期待される費用をいいます。 繰延資産は、上記のように、創立費、開業費、開発費、株式交付費、社債発行費及び新株予約権発行費が該当します。

これらの項目については、費用として処理する方法のほか、繰延資産として貸借対照表に資産計上する方法も認められています。
なお、法人税法固有の繰延資産については、会計上の繰延資産には該当しません。そのため、投資その他の資産に長期前払費用として計上することが考えられます。
法人税法固有の繰延資産とは下記に記載するような費用で、効果が支出の日以後一年以上に及ぶものが該当します。

・自己が便益を受ける公共的施設又は共同的施設の設置又は改良のために支出する費用
・資産を賃借し又は使用するために支出する権利金、立退料その他の費用
・役務の提供を受けるために支出する権利金その他の費用
・製品等の広告宣伝の用に供する資産を贈与したことにより生ずる費用
・上記に掲げる費用のほか、自己が便益を受けるために支出する費用


2.繰延資産は、その効果の及ぶ期間にわたって償却する。


資産計上した繰延資産は、上記にあるように、その効果の及ぶ期間にわたって償却する必要があります。この効果の及ぶ期間とは、創立費や開業費等においては、実際に創立や開業のために支出した金額が、どの期間の売上に対して影響を及ぼしたかは判断が難しいため、下記のように定められています。

・創立費…5年以内
・開業費…5年以内
・開発費…5年以内
・株式交付費…3年以内
・新株予約権発行費…3年以内
・社債発行費…社債の償還までの期間


3.リース取引の基本的な会計処理

リース取引に係る借手は、賃貸借取引又は売買取引に係る方法に準じて会計処理を行う。 一般に、機器等の資産を賃借する場合、リース会社等からリースを行うケースと、例えばコピー機を短期間借り受けるケースが考えられますが、ここでのリース取引は、リース会社等からリースを行うケースを想定しています。
リース取引の会計処理には、賃貸借取引に係る方法と、売買取引に係る方法に準じて会計処理する方法の二種類があります。
賃貸借取引に係る方法とは、リース期間の経過とともに、支払リース料を費用処理する方法です。
売買取引に係る方法に準じた会計処理とは、リース取引を通常の売買取引と同様に考える方法であり、金融機関等から資金の借入を行って資産を購入した場合と同様に扱うこととなります。つまり、リース対象物件をリース資産として貸借対照表の資産に計上し、借入金に相当する金額をリース債務として負債に計上することとなります。この場合、リース資産は、一般的に定額法で減価償却を行うこととなります。

4.まとめ

中小会計要領では、貸借対照表項目の中の、固定資産、繰延資産、リース取引について上記のように定めています。
この中でも特に固定資産の会計処理については、車や機械等を保有する多くの中小企業にとって重要な知識であり、実務においても期末毎に減価償却費の確認をする必要があります。 中小企業の会計処理についてご不明な点がございましたら、身近な専門家に相談されることをお勧め致します。

※関連記事:
『中小企業要領における、有価証券、棚卸資産、経過勘定の会計処理』
『中小企業要領における、金銭債権及び金銭債務、貸倒損失及び貸倒引当金の会計処理』

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