中小企業要領における、引当金の会計処理
税務・財務

中小企業が利用することが出来る簡便的な中小企業の実態に即した会計ルールとして、中小会計要領があります。
今回は、中小会計要領において規定されている、引当金の会計処理についてご紹介致します。

この記事の目次

1.引当金とは

引当金は、未払金等の確定した債務ではないものの、引当金の計上要件を満たす場合には、財政状態を適正に表示するために、負債の計上が必要であると考えられ、合理的に見積って計上することとなります。

またその負債の計上と共に、引当金繰入額が費用に計上されます。一般的に費用は、金銭を支出した場合やサービスの消費と同時に生じるものですが、それらが行われていない状況においても、その原因がすでに発生している場合においては、原因が発生した会計期間の費用とすることが、より適正な期間損益計算を行えるといえ、引当金繰入額が計上されます。

引当金には貸倒引当金、賞与引当金、退職給付引当金、返品調整引当金等の引当金があります。なお、金額的に重要性が乏しいものについては、計上する必要はありません。

2.引当金の基本的な会計処理

以下に該当するものを引当金として、当期の負担に属する金額を当期の費用又は損失として計上し、当該引当金の残高を貸借対照表の負債の部又は資産の部に記載する。

・将来の特定の費用又は損失であること
・発生が当期以前の事象に起因すること
・発生の可能性が高いこと
・金額を合理的に見積ることができること


上記の4つの要件を満たした場合に、引当金を計上することが出来ます。例えば12月末決算の中小企業が、4月から9月の勤務に対し、賞与を支給することを12月末までに支給金額を含めて決定し、その支給日が翌期の1月であるという場合には、この要件を満たすことになるため、その賞与金額を12月末の決算において賞与引当金として計上することが出来ます。
賞与引当金については、翌期に従業員に対して支給する賞与の見積額のうち、当期の負担に属する部分の金額を計上する。

賞与引当金については、翌期に従業員に対して支給する賞与の支給額を見積り、当期の負担と考えられる金額を引当金として費用計上します。
具体的には、決算日後に支払われる賞与の金額を見積り、当期に属する分を月割りで計算して計上する方法が考えられます。 退職給付引当金については、退職金規程や退職金等の支払いに関する合意があり、退職一時金制度を採用している場合において、当期末における退職給付に係る自己都合要支給額を基に計上する。

従業員との間に退職金規程や退職金等の支払いに関する合意がある場合、中小企業は従業員に対して退職金に係る債務を負っているため、当期の負担と考えられる金額を退職給付引当金として計上します。

退職一時金制度を採用している場合には、決算日時点で、従業員全員が自己都合によって退職した場合に必要となる退職金の総額を基礎として、例えば、その一定割合を退職給付引当金として計上する方法が考えられます。

中小企業退職金共済、特定退職金共済、確定拠出年金等、将来の退職給付について拠出以後に追加的な負担が生じない制度を採用している場合においては、毎期の掛金を費用処理する。
外部の機関に掛金を拠出し、将来に追加的な退職給付に係る負担が見込まれない制度を採用している場合には、毎期の掛金を費用 として処理し、退職給付引当金は計上されません。

3.まとめ

中小会計要領では、上記のように引当金の会計処理について定めています。引当金の計上時点は金銭を支出した場合やサービスの消費時点と異なり、またその金額の算定や計上根拠は計上処理を行う中小企業の適切な判断によるものとなっています。よって、引当金の計上は、その判断を行うための十分な知識が必要となります。
引当金をはじめ、会計処理についてご不明な点がございましたら、身近な専門家に相談されることをお勧め致します。

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『中小企業要領における、有価証券、棚卸資産、経過勘定の会計処理』
『中小企業要領における、金銭債権及び金銭債務、貸倒損失及び貸倒引当金の会計処理』
『中小企業要領における、固定資産、繰延資産、リース取引の会計処理』

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