中小企業要領における、外貨建取引
税務・財務

中小企業が利用することが出来る簡便的な中小企業の実態に即した会計ルールとして、中小会計要領があります。
今回は、中小会計要領において規定されている、外貨建取引の会計処理についてご紹介致します。

この記事の目次

1.外貨建取引とは

外貨建取引とは、売買価額その他取引価額が外国通貨で表示されている取引のことをいいます。
外貨建取引には、取引価額が外国通貨で表示されている物品の売買又は役務の授受、決済金額が外国通貨で表示されている資金の借入又は貸付、券面額が外国通貨で表示されている社債の発行、外国通貨による前渡金、仮払金の支払又は前受金、仮受金の受入及び決済金額が外国通貨で表示されているデリバティブ取引等が含まれます。

例えば業務上必要な海外視察の際に、飲食費として10ドルの支払いをした場合、この経費を日本の会社が計上することは出来ますが、仕訳として取引金額をそのまま10ドルとして載せることは出来ません。日本円に換算をして計上することが必要となります。
この日本円に換算するにあたり、会計上のルールが定められています。

2.外貨建取引の基本的な会計処理

外貨建取引は、当該取引発生時の為替相場による円換算額で計上する。
日本円に換算するための原則的なルールは、外貨建取引発生時の為替相場による円換算額で計上するというものです。 上記の例のように海外視察の際に飲食費を10ドル支払った場合は、帰国時の為替相場が1ドル140円であったとしても、飲食費を支払った時点の為替相場が1ドル135円であれば、10ドルに135円を乗じた1,350円が飲食費として計上される金額となります。

また、ドル建で輸出を行った場合においては、ドル建の売上金額に、取引を行った時のドル為替相場を乗じて円換算し、売上高と売掛金を計上します。 この場合の、取引発生時のドル為替相場は、取引が発生した日の為替相場のほか、前月の平均為替相場等直近の一定期間の為替相場や、前月末日の為替相場等直近の一定の日の為替相場を利用することが考えられます。
外貨建金銭債権債務については、取得時の為替相場又は決算時の為替相場による円換算額で計上する。

上記のドル建の売上取引に関する売掛金が、期末時点でも残っている場合は、貸借対照表に記載する金額は、取引を行った時のドル為替相場による円換算額、又は決算日の為替相場による円換算額のいずれかで計上します。
なお、決算日の為替相場のほか、決算日の前後一定期間の平均為替相場を利用することも考えられます。 為替予約を行っている場合には、外貨建取引及び外貨建金銭債権債務について、決済時における確定の円換算額で計上することが出来ます。 為替予約とは、将来の一定の時期に一定の為替相場で特定の外貨を受け渡しすることを現時点において約定する取引のことです。
決算日の為替相場によった場合には、取引を行った時のドル為替相場による円換算額との間に差額が生じますが、これは為替差損益として損益処理します。

3.まとめ

中小会計要領における外貨建取引についてご紹介致しました。外貨建取引というと耳馴染みのない言葉だと感じたり、海外との取引というと大企業の貿易商にしか関係無いのではないかと思われたりする中小企業の方も多くいらっしゃるかもしれません。
しかし、現在は簡単に個人でもスマートフォンだけで海外から商品を購入することが出来る時代です。現時点において海外との取引が無い中小企業も、いつ海外との取引が発生したり、海外事業を展開したりと、外貨建取引の知識が必要となる時期が来ても不思議ではありません。是非ご参考になさってください。
ご不明な点がございましたら、身近な専門家に相談されることをお勧め致します。

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