減価償却資産の償却限度額とは
税務・財務

減価償却資産は、その取得価額を耐用年数で按分を行い、按分された金額を減価償却費として費用に計上をすることが出来ます。
この各事業年度において計上することが出来る金額を償却限度額といい、按分方法によってその算出方法が異なります。
今回は按分方法である減価償却の方法毎に、償却限度額はどのように計算をする必要があるのかについてご紹介致します。

この記事の目次

1.定額法

「定額法の償却限度額=取得価額×定額法の償却率」
定額法の償却率は耐用年数省令別表第八に規定されています。例えば、耐用年数が10年であるものに対する定額法の償却率は、0.100と定められています。

2.定率法

1.原則

「定率法の償却限度額=(取得価額△既償却額)×定率法の償却率」
既償却額とは、前事業年度までに損金の額に算入された償却費の累積額です。また、定率法の償却率は耐用年数省令別表第九、第十に規定されています。例えば、耐用年数が10年であるものに対する定率法の償却率は、0.200と定められています。

2.調整前償却額が償却保証額に満たない場合

「定率法の償却限度額=改定取得価額×改定償却率」
改定取得価額とは、原則として、調整前償却額が最初に償却保証額に満たなくなる事業年度の期首未償却残高をいいます。また、改定償却率は耐用年数省令別表第九、第十に規定されています。例えば、耐用年数が10年であるものに対する改定償却率は、0.250と定められています。

3.生産高比例法

「生産高比例法の償却限度額=(鉱業用減価償却資産の取得価額/その資産の耐用年数の期間内におけるその資産の属する鉱区の採掘予定数量)×その事業年度におけるその鉱区の採掘数量」
その資産の属する鉱区の採掘予定年数がその資産の耐用年数より短い場合には、その採掘予定年数になります。

4.リース期間定額法

「リース期間定額法の償却限度額=((リース資産の取得価額△残価保証額)/リース期間の月数)×その事業年度におけるそのリース期間の月数」
残価保証額とは、リース期間終了の時にリース資産の処分価額が所有権移転外リース取引に係る契約において定められている保証額に満たない場合にその満たない部分の金額を賃借人が支払うこととされている場合におけるその保証額をいいます。

5.平成19年3月31日以前取得分

平成19年4月1日以後に取得をされた減価償却資産に、上記1から3の償却限度額の計算方法が適用され、かつ4のリース期間定額法は、平成20年4月1日以後に締結された所有権移転外リース取引により賃借人が取得したものとされる減価償却資産について適用されます。
平成19年3月31日以前に取得をされた減価償却資産の償却限度額についての計算方法等は、下記のとおりです。

1.旧定額法

旧定額法の償却限度額=(取得価額△残存価額)×旧定額法の償却率

2.旧定率法

旧定率法の償却限度額=(取得価額△既償却額)×旧定率法の償却率

3.旧生産高比例法

旧生産高比例法の償却限度額={(鉱業用減価償却資産の取得価額△残存価額/その資産の耐用年数の期間内におけるその資産の属する鉱区の採掘予定数量}×その事業年度におけるその鉱区の採掘数量

6.まとめ

償却限度額を超えて減価償却費を会計上で計上をした場合、この超えた部分の減価償却費は損金不算入となります。同一のルールの範囲内での減価償却費の計上のみを、損金として認めることを定めないと、各法人の判断で多額の減価償却費を計上することになり、恣意的に利益や法人税額を減らす行為を行う事業者が出てしまい、公平性が保てないためです。
よって上記のように、各事業年度において減価償却費として計上することが出来る償却限度額は、その償却方法によって定められています。
ご不明な点がございましたら、身近な専門家に相談されることをお勧め致します。

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