家賃など請求書等の交付がないインボイス対応
税務・財務


この記事の目次

1.はじめに

令和5年10月1日より開始されるインボイス制度、その開始時より適用を受けるためには同年3月31日までに適格請求書発行事業者の登録申請が必要であり、当該期限まであと半年に迫って来ておりますが、ご準備の程はいかがでしょうか?

事業者の皆様方におかれましては、登録申請をするか検討されている方、登録を済ませて請求書形式の改定や取引先への連絡などの対応に追われている方、事情は様々おありかと存じます。

さて、今回は請求書発行のない取引に関するインボイス対応について触れていきたいと思います。インボイス制度が始まると適格請求書発行事業者として登録された方は、従来とは異なる適格請求書の様式に従った請求書を発行する必要があるのですが、実は対応すべき問題はこれだけではありません。

請求書が交付されずに契約で定められた一定の金額が月末に引き落とされるといった形の取引についても支払側が仕入税額控除の適用を受けるためには相応の対応をする必要があるのです。

当該取引の例として不動産賃貸が挙げられます。居住用の家賃については消費税非課税ですので問題とはならないのですが、店舗や事務所,倉庫の家賃や駐車場代については消費税の課税対象ですので対応を迫られます。

このような取引について具体的にどのような対応が必要になるのか、売手すなわち賃貸人と買手すなわち賃借人双方の立場からそれぞれご説明致します。

2.既存契約の場合

①賃貸人…登録番号、消費税率、消費税額を記載した通知書を発行
②賃借人…上記通知書の発行を依頼


既存契約とはインボイス制度開始前、すなわち令和5年9月30日までに締結された賃貸借契約を指します。



インボイス制度が始まると、賃借人が支払った事務所家賃や駐車場代を従来通り仕入税額控除するには賃貸人に適格請求書登録番号や賃料に係る消費税率及び消費税額を明記してもらう必要があります。

しかし当然ですがこれらの情報は既存の契約書には記載されていないでしょう。
そこで別途、覚書や通知書といった形で上述した内容を受け取り、保管することが求められるのです。
逆に言えば賃貸人の側からすると適格事業者登録を済ませた後、各契約ごとにこのような通知書を発行して提示する必要があるということです。

3.新規契約の場合

①賃貸人…賃貸人の名称及び登録番号、賃借人の名称、取引の内容、税率ごとの対価の合計額及び適用税率、消費税額を契約書に明記する。
②賃借人…上記内容が記載された契約書を交わし、保管する。


新規契約とはインボイス制度開始後、すなわち令和5年10月1日以後に締結する賃貸借契約を指します。



インボイス制度においては発行者の適格請求書登録番号、適用税率ごとに消費税額と対価の金額を記載することが原則となりますので、このような情報を契約書に記載するといった対応が求められます。

上述の対応は賃借人が仕入税額控除の適用を受けるにあたって欠かせない要件となりますので、賃貸人との間で記載もれのない契約書を交わすよう注意を払う必要があります。

4.まとめ

今回は不動産賃貸取引に係るインボイス対応を解説致しました。インボイス制度開始前後で対応が分かれますが、必要となる情報の本質は同じです。上述した対応が求められるのは賃借人が事業者であり、かつ消費税の課税事業者である場合です。

さらに言えば原則課税適用者であって簡易課税適用者は除かれます。賃貸人は借手にこのような者がいるかを確認しておく必要があるでしょうし、従来免税事業者であった場合は課税事業者への転換を迫られることもあり得ます。賃借人においては自身が消費税の原則課税事業者であれば賃貸人に対応を要請する必要があります。
制度が始まってから慌てることのないよう、今から検討しておくことをおすすめ致します。

国税庁資料

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