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節税をしようと考えた際に、所得税法の仕組みの裏をかくような難しい道や抜け道ばかりを探していないでしょうか?
難しい道、抜け道を考えるよりも最も確実で正当性のある節税方法があります。それは経費を漏らさずに確実に計上をすることです。
今回は当たり前のように思えて見落としやすい、個人事業主の経費について、ご紹介致します。
1.節税の仕組み
個人事業主に課税される所得税は、売上等の収入から、仕入等の費用を差し引いて計算をした利益に対して課税がされます。よって、費用が多い程、利益が少なくなり、納めるべき所得税が少なくなります。しかし費用を多くすることは、一般的には支出を伴います。費用を多くすると、結果的に節税をすることは出来ても、費用を多くするための行為によって、現金の流出が多くなり、資金繰りにおいて支障をきたす場合があります。
よって、単純に更なる支払いを行い、費用を増やすことよりも、まずは既に支払ったもののうち、費用として計上をすべきものを、漏らさずに計上することが出来ているか、の確認が先決であるといえます。
2.経費に該当をするもの、しないもの
経費に該当をするものとは、収入を得るためにかかった費用です。事業で販売するために仕入れた商品代金や、その商品発送に係る運賃、事業の打ち合わせに係る飲食費や、事業の視察目的の旅行費等が該当をします。一方で経費に該当をしないものとは、私用目的で購入をした商品代金や、その購入に係る運賃、私用の飲食費や私用休暇の旅行費等が該当をします。
つまり、経費に該当をするかどうかの判断は、その支出が事業を営むにあたり必要であるか、が重要なポイントとなります。
3.見落としやすい経費とは?
経費を確実に計上するためには、まずはその支払いに係る領収書やレシートを確実に保管し、漏らさずに計上を行うことが必要です。支払いに係る領収書やレシートがあるものについては、それらの証憑類を確認することが直ぐに出来るため、漏らさずに計上することは難しくありません。
一方で、経費として計上をすることが出来るにも関わらず、直接的な支払いが無いもの、つまり領収書やレシートの証憑類が無いため、見落としやすい経費があります。その見落としやすい経費には、下記のようなものを挙げることが出来ます。
1.家事按分をする費用
家事按分とは、私用と事業用で兼用をしているものに対して、合理的な割合を乗じて私用分と事業分に分けることをいいます。そしてこの事業分として金額は経費として計上をすることが出来ます。私用と事業用で兼用をしているため、多くの場合は支払いの際は総額での領収書やレシートを受け取ることになり、直接的な事業用に計上すべき金額を示した証憑類を確認することが出来ないことから、見落としやすい経費となっています。
例えば、賃貸住宅の一室で事業を行っている場合、居住用として支払っている家賃の一部を事業用の地代家賃として経費計上をすることが出来ます。この場合の按分割合は、事業に従事をしている時間や、使用面積等、客観的に見ても合理的といえる割合で、自身で定めるものになります。
地代家賃以外にも、インターネット使用料等の通信費、ガソリン代等の車両費、電気代等の水道光熱費等が、家事按分の対象となり得る場合があります。
2.貸倒引当金
貸倒引当金とは、事業を営む青色申告者で、その事業の遂行上生じた売掛金、貸付金等の貸金の貸倒れによる損失の見込額として、年末における貸金の帳簿価額の合計額の5.5%以下の金額を貸倒引当金勘定へ繰り入れたときは、その金額を必要経費として認めるというものです。自身が計算をする見込額であることから、その見込の計上額についての証憑類は発行がされず、見落としやすい経費となっています。
4.まとめ
個人事業主が節税をするための近道は、経費を漏らさずに計上をすることです。領収書やレシートを確実に保管して、その証憑類を基に確実に計上をすることのほか、領収書やレシートの無い、家事按分によって計上される費用や、貸倒引当金の計上等も、見落とさぬように留意をしましょう。ご不明な点がございましたら、身近な専門家に相談されることをお勧め致します。
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