納税者の味方 ! ? 今更だけど「理由の附記」について教えて !
税務・財務


この記事の目次

理由の附記とは


平成25年1月より、税務調査の調査の結果は「理由の附記」という形で文書が出されることになりました。これは説明もなく処分はできなくなったことを表し、これを「理由の附記」と呼んでいます。

これは更正(処分)の場合にのみ必要とされたわけではありません。
あくまでも、「納税者にとって不利益な処分にはすべて理由の附記が必要」とされたわけです。


不利益な処分になる「重加算税」とは


では、税務調査において更正以外に不利益な処分とは何があるでしょうか。いくつか考えられるのですが、もっとも不利益になるのは「重加算税」でしょう。

通常、税務調査で否認されると、本税(本来払うべきであった税額の不足分)に過少申告加算税10%が上乗せされるのですが、重加算税になると35%もの上乗せになります。

さらに、重加算税になると延滞税(利息分)の計算も高くなりますので、まさにダブルパンチとなるわけです。


重加算税の要件


重加算税の要件は、簡単にいうと「仮装または隠ぺい」していたことです。「仮装または隠ぺい」とは、たとえばこのような行為です。

■ 隠ぺい
二重帳簿の作成・売上除外・架空仕入・架空経費・棚卸資産の除外・雑収入の除外等

■ 仮装
取引上の架空名義の使用・通謀虚偽表示(民法 94 条 1項)・虚偽答弁等

簡単にいえば、税金をごまかそうと悪いことをしていれば重加算税が課されるというわけですが、実態はそうではありません。 法人への税務調査が行われた件数のうち、20%に重加算税が課されています。20%もの法人が「仮装または隠ぺい」行為をしていたとは到底考えられません。

修正申告を提出したことで税務調査が終わって、後日税務署からの通知を見てみると、なんと重加算税の通知だったという話もあるくらいです。

重加算税も税務署からの「処分」にあたります。つまり、今までは、重加算税の処分をする場合、税務署からその理由などを提示する必要がなかったのです。

そのため、「仮装または隠ぺい」などしていなかったとしても、税務調査で重加算税を課されるケースが多く あったのです。
すべての処分に理由の附記が必要になったことにより、重加算税の処分をする場合にも、 通知書に理由を載せる必要が生じました。


まとめ


これによって、今まで曖昧な基準で処分されていた重加算税も、今では税務署も理由の附記が必要ですから、安易な処分はしてこなくなったのではないでしょうか。

「理由の附記」とは、納税者によって非常に有利な法改正だったのです。

ご不明な点がある場合は専門家に相談することをおすすめいたします。
税務調査についてご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。
参照 : SHARES 田中雅明税理士事務所 田中雅明のページ

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