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源泉所得税の税務調査といいますと、あまりピンとこない方も多いのかもしれません。
税務署で行う中小企業に対する税務調査では、
法人税
消費税
源泉所得税
印紙税
消費税
源泉所得税
印紙税
こうした幾つかの税目を、一緒に税務調査をしているというのが原則です。
では、源泉所得税調査、つまり、源泉所得税だけを対象とする税務調査とは、どういうものでしょうか ?
源泉所得税の税務調査はあくまで税務署が行う
資本金1億円以上の大企業、上場企業などには、通常の法人税などの税務調査は、東京国税局では東京国税局の調査部という部局により行われ、税務署では調査権限がありません。こうした大企業に対する源泉所得税の調査は、あくまで税務署の所管になっています。
国税局と税務署が日程や予定を調整して、同時期に税務調査を行うという方法はよく行われていますが、あくまでの調査権限は別です。 国税局ではなく、税務署の人が担当する源泉所得税の税務調査は、それほど心配ないと思われるかもしれませんが、実は大変怖いものなのです。
税務署の部局で源泉所得税の税務調査を担当とは
税務署にはすべての税務署に同じセクションがおかれているのではなく、中心的な税務署に配置したポストの者が、他の税務署も含めて担当するという広域運営も広く行われています。納税者にしてみれば、より詳しい調査官が他の税務署から来る可能性があるということなので、注意が必要です。
源泉所得税の税務調査を担当する部局は次のとおりです。
各部局の詳細は以下です。
(1)統括官部門
部門に在籍する調査官が主に現場に出向いて税務調査を行います。通常な規模の公益法人や宗教法人などの税務調査は、一般にこの部局により行われます。
(2)特別国税調査官
上場企業などの大企業を、周期的に税務調査を行います。税務調査経験が長い職員がある程度の調査日数で担当し、場合によっては大きな金額の課税漏れを把握することがあります。
(3)国際税務専門官
国税局で国際課税を経験していたり、語学力がある者により構成され、大変深掘りした税務調査を行い、情報連鎖も早く、もっとも怖い税務調査になります。
税務調査の選定のテーマについて
私も、実は国際税務専門官を担当していたのですが、その時々で、税務調査の選定のテーマはいろいろです。私の場合には、プロジェクトチームとして、外国銀行、外国証券会社を中心に、税務調査の選定をしており、長い案件では調査終了まで1年以上かかった案件もありました。
その意味では、この国際税務専門官は、責任感があり、長期化しても決してあきらめず、課税漏れを把握して、指摘、課税処分や納税をしてもらうことを最後の最後まで追求します。国際税務専門官が税務調査に来るとなれば、なんとなく選定された、というようなことはありません。予めある程度の想定をした上で、税務調査に来ていると判断して間違いないでしょう。
どのような部分が税務調査のターゲットなのか
国際税務専門官の税務調査のターゲットは、非居住者に対する課税所得について、源泉徴収を怠っているものを把握して是正することです。税務調査では、銀行から海外送金する際の控(海外送金依頼書)から始まり、海外勤務に出ていっている人、海外勤務から帰ってきた人などの、いわゆるチェックイン・チェックアウトの人のリストを検討して、出入りに付随する税や経済的利益が、正しく源泉徴収の対象とされているかを検討したりします。
ライセンスフィー、ロイヤルティなどが、海外に支払われる場合には、多くの場合、非居住者・外国法人に対する源泉徴収の対象になりますので、技術関係の海外送金、特許関係、著作権関係の海外送金などは、非常に時間をかけて検討します。
最近の例では、国際的な企業が、タックスメリットのため、知的財産権を保有するグループ会社に知的財産を持たせるリストラをして、低税率国のグループ会社がロイヤルティなどの受益者になったはいいが、使用料についてはその国は非居住者源泉課税を免除する租税条約はなく、すべて課税漏れであったことが把握された事案があります。追徴額は、恐るべき金額になったと承知しています。
ではそうした多額な追徴にならないようにするにはどうするのか ?
源泉所得税は、非居住者に対して支払われる国内源泉所得に該当する使用料や報酬、そうしたものが源泉徴収の対象です。 この税目は、法人税や所得税と違い、会計、決算、税務調整ということで税金を申告して確定するものと異なり、非居住者などに源泉徴収しなければいけない所得を、源泉徴収をしないで支払ってしまうと、特段の手続きなく、課税漏れが生じてしまいます。従いまして、源泉徴収が必要な所得をしっかり理解して、支払の都度、源泉徴収は必要ではないか、毎回しっかり検討して、正しく取扱うしかない、と言えます。
しかし、非居住者源泉や租税条約は大変に難解な部分を含んでおり、顧問税理士さんでもまったく手も足も出ず。「すみません、わかりません」と答えてるくこともしばしば。仕方ないことなのかもしれませんが。
まとめ
じゃあ、仕方がないから税務署に聞こう、と思っても、税務署の担当者も経験の高い人とそうでない人が混在しており、よく聞きますのは、複数の税務署に聞きまくってようやく正しい処理を教えてもらった、というような話があります。 望ましいのは、親身に質問や相談に対応してくれる、源泉所得税の税務顧問を詳しい税理士にお願いすることがよいのだと思います。
当事務所では、国税の職場で、非居住者源泉所得税など、専門知識・経験を有する税理士が2名で対応しており、特典付きメルマガを購読していただくことで、質問は何度でも無料でお答えしております。税務調査対策にぜひご活用ください。
ご不明な点がございましたらお気軽にご相談ください。
参照 : SHARES 税理士法人 原・久川会計事務所(平塚橋事務所) 久川 秀則のページ
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